集客ホームページに何を書く?ライターが教える記事作成のコツ
ホームページの文章を書くときは、徹底的にお客様目線で考え、「この商品を買うと、どんないいことがあるのか」を言葉で伝えることが大切です。
個人向けコールセンタ―で3万件超の顧客対応をしてきたコピーライターが、ホームページの集客力を高める文章の書き方をお伝えします。
特に、「アクセスはそこそこあるけれど、問い合わせがほとんどない」という方におすすめ。
文章を変えて反応が一気によくなることもめずらしくないからです。
目次
「誰」に向けて書くのかを決める
いわゆるターゲット設定ですね。
「誰に向けて書くか」が決まらないまま文章を書くのは、好きな相手がいないのにラブレターを書くようなものです。
ターゲットを絞るとお客様が減るのでは?
「ターゲットなんて絞ったら、対象となるお客様が減ってしまう。できる限り幅広い層に自分の商品を知ってほしい」という声をよく聞きます。
でもまずは、「お客様が減る」と自分目線になっていることに気づきましょう。
お客様目線で考えると、実はターゲットは絞られていたほうがありがたいのです。
私の体験をご紹介します。
200軒以上の美容院がひしめく激戦区、青山で髪を切ろうとしたときのことです。
ホットペッパービューティー(美容院のクーポンサイト)で探してみたのですが、どの美容院も似たり寄ったり。
「似合う髪型を一緒にみつけます」「あなたの魅力を引き出します」「ベテランスタイリストが在籍」など、店名を変えれば使い回しができそうなつまらないキャッチコピーがズラズラと並び、だんだんとめんどうになってきました。
もうやめようかな。
そう思い始めたとき、あるキャッチコピーが目に入りって即決。
その内容とは……。
「ショートヘアが得意です」
たったこれだけ。
当時はショートヘアだったので、「自分のための美容院」だと思えたのです。
お客様は、ターゲットが絞られたサイトを望んでいる
こうしたターゲットを絞ったメッセージはとても親切です。
なぜなら、選ぶ手間が省けるから。
BtoCサイトは選択肢が多すぎるうえにどこも似たり寄ったりだから、「あなたにぴったりの商品です」と提案されるのは、とてもありがたいのです。
私は2回ほどでリピートをやめてしまいましたが、心の底から気に入っていたらロングヘアになってもパーマをかけるときでもこの美容院に通っていたでしょう。
美容院がショートヘアにもロングヘアにも対応できるように、企業も様々な顧客ニーズに応えられるはずです。
でも集客のためのサイトとして打ち出す場合、「なんでもできます」ではお客様にスルーされるのは確実。
どれかひとつを選び全面に出していくとお客様が入り口を見つけやすくなり、結果として集客できるようになります。
薄く広く一見さんを集めるよりも、貴社の方向性に共感してくれるお客様に良質なサービスを提供してリピーターになってもらう。
そのほうが、経営が安定します。
「一度来てくれれば(買ってくれれば)良さがわかるのに」と嘆く声をよく聞きますが、その“一度”をつくり出すのが、ターゲットを絞ったサイトなのです。
ターゲットの絞り方の3パターン
では、ターゲットの絞り方を具体的に説明していきます。
①過去の自分をターゲットにする
「かつて自分が○○に救われたから、この良さを世に広めたい」
このような気持ちで起業された方は、過去の自分に向かって書くのがいちばん簡単です。
とはいえ、単純に「××に悩んでいる人」だけではザックリしすぎて誰にも届きません。
ターゲットを絞るために、次の質問に答えてみてください。
- 悩みを解決するために、今までにどんなことをしてきたか
- ほかの手段はなぜ効果がなかったのか
- どうやって○○(かつての自分を救ってくれた商品)を知ったのか
- 最初、○○にどんな印象を持ったか
- 実際に○○を使ってみて、自分にどんな変化があったか
あるカウンセラーのターゲットは、「心身の調子がなんとなく悪い女性」とぼんやりしていたのですが、これらの質問をしたところ「病院通いを続けても心身の不調が改善せず、色んな自然療法を試しているけれど自分に合ったものを見つけられない女性」と、かなり明確になりました。
②実在のお客様をターゲットにする
実在する理想的なお客様をひとり思い浮かべ、その方に向かって書くのも簡単で効果的です。
実際にいるのだから、どんな人柄でどんなことにお困りかがよくわかり、あなたが困りごとを解決してきた実績もあります。
とはいえ、これも過去の自分をターゲットにするときと同様に「××に悩んでいる人」だけでは不充分です。
可能であればお客様の以下の質問をして、深堀してみてください。
直接話すのがむずかしい場合は、今まで聞いてきた話を思い出し、より具体的にイメージを膨らませていきます。
- 悩みを解決するために、お客様は今までにどんなことをしてきたか
- ほかの手段はなぜ効果がなかったと思うか
- どうやって当社の商品を知ったのか
- 最初、当社に商品にどんな印象を持ったか
- 実際に当社の商品を使ってみて、お客様にどんな変化があったか
③欲求ベースで絞る
①と②に当てはまらない場合は、お客様の欲求ベースで絞ります。
お客様がサービスを買うのは、欲求を満たしたいからです。
たとえばダイエットサプリにお金を払う人は、「やせたい」という欲求を持っているから。
ではこの場合、ターゲットは「やせたい人」になるかといえば、そう単純ではありません。
人によって状況は千差万別であり、もっと絞り込む必要があります。
具体的には「なぜその欲求を持っているのか」と深掘りし、本当の欲求を見つけていきましょう。
たとえば、次の例を見てください。
「やせたい」という表面的な欲求は同じですが、根本がまったくちがいます。
おしゃれを楽しみたいAさんに向かって「健康のためにダイエットしませんか?」
と言ってもスルーされるのは確実です。
そんなときは、「なぜ?」を繰り返して欲求を深堀していきます。
例
Q「なぜ、やせたいの?」
A「服がどんどんきつくなっているから」
Q「なぜ、太ってきているの?」
A「夜中に食べてしまうから」
Q「なぜ、夜中に食べてしまうの?」
A「日中は子供にかかりきりでストレスが溜まっているから」
Q「なぜ、そんな大変な状況なのにやせたいの?」
A「ママになってもきれいでいたいから」
この場合、本当の欲求は「やせたい」ではなく「子育て中でもきれいでいたい」です。
するとターゲットは単なる「やせたい女性」ではなく、 「ずっと美しくありたいお母さん 」です。
この場合であれば、「 3ヶ月で 5キロやせられます」よりも、「『 出産したとは思えない体型 』と言われるママが続出しているダイエット方法があります」 などと アプローチしたほうが、心をつかめます。
ダイエット以外の美容サービスも喜んで受け入れてくれるかもしれません。
「誰に」伝えるかによって、「何を」書くかが変わります。
ターゲット設定は、サイトの土台。ぜひ時間を取ってじっくり考えてみてください。
お客様にどんな未来が待っているのかを明確にする
お客様がほしいのは商品そのものではなく、商品によってもたらされる良い結果。
これをベネフィットと呼びます。
たとえば、ほしいのはダイエットサプリではなく、スリムになっておしゃれを楽しめることだったり自分の自信を持てることだったりするのです。
ベネフィットを学ぶ練習問題
せっかくなので、ここで練習問題です。
「30年前の女子高生にスマートフォンを売るとしたら、どんな営業トークをしますか?」
答えを考えてみてください。
ちょっと時間をとりますね。
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いかがでしたか?
私だったら、次のように説明します。
普通、家族とお出かけしたときくらいしか写真を撮りませんよね。
でもスマートフォンがあれば、学校でも友達と遊びに行ったときでもすぐに撮影できて、しかも友達にその場で送れます。
現像の時間もお金もかからないですよ。
居間にある電話だと、友達と込み入った話はしにくいですよね。
メッセージなら親に聞かれずに連絡がとれますし、直接言いにくいことも文字だったら伝えられます。
いつでも友達と一緒にいる感覚が味わえますよ。
このように、「商品を手に入れた人に起きる良いこと」を、お客様に合わせた言葉に言い換えたものがベネフィットです。
商品を購入してもらうには、ベネフィットをどれだけ伝えられるかがカギ。
でも世の中には、スペックの解説や専門用語だらけの文章がとても多い!
たとえるなら、30年前の女子高生に、通信速度が~、画素数が~、5Gは~、最新型iPhoneは~、などと説明しているようなものです。
ベネフィットがメイン。機能は裏づけ
30年前の女子高生がスマートフォンを知らないように、お客様は貴社の商品を知りません。
ここを大前提として文章を考えるのが基本です。
つい、「こだわりの素材」「熟練の技」などと企業や商品の良さを伝えたくなる気持ちはよーくわかりますが、いったんグッとこらえて。
「この商品を買うと、こんな良いことがあります。なぜなら最新技術を駆使しているからです」のように、機能面での優位性は、ベネフィットの根拠を証明する材料として使用します
競合のホームページを調査し、勝てるポイントを見つける
BtoBの場合は、サイトを見て資料を取り寄せて営業担当者に詳しく話を聞き、そのうえで社内で稟議を通して契約に至ることが多く、サイトは入り口であることがほとんど。
一方BtoCはサイトだけで購入を決めることも少なくありません。
コンテンツ(中身)を充実させ、競合に勝てるサイトを目指しましょう。
そのためには、競合サイトの調査が必要です。
競合調査のやり方
まず、以下の2つのサイトをピックアップします。
- 競合だと認識しているところ
- お客様が検索する(検索しそうな)キーワードでグーグル検索し、上位に表示されたところ
※私は上位5位くらいまでのところと比較しますが、状況に応じて加減してください
(例:「歯科医院 ○○駅」「起業セミナー 女性」)
※ラッコキーワードを使用すると、一緒に検索されているキーワードが表示されて便利です。
次は、比較する項目を決めてエクセルを埋めていきます。
参考までに、いつも使用している表はこちらです。
項目は、「トップページのキャッチコピー」「場所」「主なターゲット層」「メニュー・金額」「特長」「人柄・イメージ」など。
たとえばオンラインで提供するサービスであれば、「場所」は重要でないから外すなど、必要に応じて削除と追加をしています。
他社にできず、自社にできることは?
競合と比較すると、「他社にできず、自社にできること」が浮き彫りになってきます。
事例1 マンツーマンメイクレッスンの競合比較
競合A社 | 一流メーカーが都心の一等地で開催していて、信頼感と高級感がある。ただし初心者にはハードルが高いイメージ。 |
競合B社 | 理論を説明してくれて納得感がありそう。複数回通う必要があり、気軽さには欠ける。 |
競合C社 | メイクアップアーティストが運営している大手。全国展開している。ターゲット層はかぶっている。講師が当日まで誰かわからない。グループレッスンのみ。 |
競合D社 | 価格帯、立地、ターゲット層がかなりかぶっており、講師の人柄がよくわかる点でもいちばんの競合といえる。ここの弱みは、レッスンの内容や進め方が説明不足なこと。ここをしっかり書けば選ばれる可能性が高い。 |
こうした比較結果から、次のポイントに重点を置いて書くことにしました
- 講師の親しみやすさ
- レッスン内容を詳細に説明
- マンツーマン
- 1回で完結
この結果、毎日のように申し込みが入るようになりました。
事例2 歯科医院の競合比較
競合の6院すべてが似たような内容でした。
「お口の健康を守る」「地域のかかりつけ医」「なるべく抜かない」「痛みの少ない治療」「白い歯」「笑顔」「コミュニケーション重視」など。
そこで競合はそれほど意識せず、医院の強みをヒアリングして次のポイントに重点を置いて書くことにしました
- 歯科先進国アメリカ並みの設備があり、精密で正確な治療ができること
- 顕微鏡でしっかり患部を観察し、手探りや勘に頼らない治療をしていること
- その結果、再発のリスクが減ること
自社のターゲットや強みがわからないときは、先に競合調査から始めるのもひとつの方法です。
やってみると、「ここなら勝てそう!」と思えるポイントが見つかって楽しいですよ。
ホームページで集客するには、文章が重要
ホームページの中身を読んでもらうには、パッと見た印象やデザインがターゲットの好みに合うことが非常に重要だと言われています。
確かにそうですが、人間と同じくサイトも外見と中身の両方が大事。
カッコイイだけ、おしゃれなだけのサイトでは集客できません。
話が超絶つまらないイケメンや性格極悪の美女と同じだからです。
外見は素敵でも……
お見合いパーティーに行ったと想像してみてください。
そこに、周りとは明らかに異なるキラキラオーラを放っているイケメンと美女がいました。
開始前から、女性はイケメンに、男性は美女に話しかけようとソワソワしています。
そして乾杯と同時に、二人のところに参加者が殺到!
我先にと話しかけます。
ところが……。
女性「今日は寒いですね!」
イケメン「そうですね……」
女性「どこにお住まいなんですか?」
イケメン「あ、その……、この近くです……」
女性「へえ! こんな都心に住んでいるんですね! お勤め先もこの辺りなんですか? 私の会社はここのすぐ近くなんです。会社の人がいたらどうしようかと思いましたが、誰もいなくて安心したんですよ」
男性「はあ。そうなんですか……」
女性「……」
男性「今日は寒いですね!」
美女「だから何? そんなの外に出ればわかるじゃないの」
男性「そ、そうですね。ところで、どこにお住まいなんですか?」
美女「は? なんでそんなの教えなきゃいけないの? うちに押しかけるつもり?」
男性「いや、そんなつもりじゃ……。お仕事は何をされているんですか?」
美女「人に聞く前に、あんたの職業と年収教えなさいよ。年収800万以下の奴とは結婚する気ないから。あんた見るからに貧乏そうだけど、念のため年収だけは聞いてあげるわ」
男性「……」
こんなイケメン・美女だったらどうでしょう?
外見は良くても愛想をつかされ、パーティーの終盤には誰も寄りつかないはずです。
ホームページにたとえるなら、デザインの良さに惹かれて読み始めたものの「私には関係ない」と判断されて閉じられるのと同じです。
デザイン「だけ」ではホームページ集客の土俵にすら立てない
イケメン・美女であれば、中身に問題があっても見合いパーティーや合コンで外見を評価してもらうチャンスがあります。
その中で出会いがあるかもしれません。
しかし、ウェブ集客の世界はそんなに甘くない!
内容(コンテンツ)が薄いホームページは検索エンジン(主にグーグルとヤフー)で検索しても上位に表示されず、人目に触れる機会すら与えられません。
検索エンジンは、有益な内容(コンテンツ)を優先して表示するからです。
具体例を紹介しましょう。
「取材 本」で検索すると、1位と2位にアマゾンの書籍が、3位に私のブログ記事「インタビューライターに必要な「取材力」を学べる書籍3冊」が表示されます。
「取材 本」で検索する人は「取材に役立つ本が読みたい」と考えているため、そのニーズに応える記事が優先して表示されているのです。
さらに「取材力」で検索しても、たいてい3位以内に表示されます。
このとき検索エンジンは「このサイトはおしゃれか、カッコイイか」は一切考えていません。
「ユーザーが求めている記事が掲載されているか」を見ています。
実際に、3位に表示された当サイトを見てください。
ダサいですよね(笑)!
でもデザインはダサくても、中身があれば検索エンジンに選ばれてお客様に見つけてもらえるチャンスができるのです。
実際に、この記事からJA広報誌の連載案件を受注したことがあります。
もちろん、デザインを否定しているわけではありません。
むしろ重要だと考え、将来的にはプロにお願いするつもりです。
デザインには、フォントサイズ、レイアウト、色づかいなどを工夫して購入意欲を高める、スマートフォン対応にして幅広い顧客層を呼び込むなどの役割がありますが、この威力が発揮されるのは充実したコンテンツがあってこそです。
ホームページの原稿作成で困ったときはご相談ください
ホームページを持っているけれど反応がほとんどない
ホームページ制作会社から、文章は自前で用意するように言われて途方に暮れている
などでお悩みでしたらお気軽にご相談ください。
単なる作業代行はしません。
「頭の中が整理された」「意外な強みがわかった」と好評の、コンサルティング要素もある原稿作成を行っております。
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こちらもぜひお手に取ってみてください。