「プロフィール」は、日本語に訳すると経歴です。
経歴と聞くと、生まれ年、学歴、職歴などを思い浮かべるのではないでしょうか。
就職活動における経歴であればこれが正解ですが、経営者や事業主のプロフィールは少し違います。
どう違う?プロフィールと経歴
プロフィールとは、経歴を通じて「私はあなたにこう役立つ人です」とアピールするコンテンツです。
単なる経歴の紹介ではありません。

「色々なことをやってきたので、どうまとめていいかわからない」「ものすごく長いプロフィールになってしまう」などのお悩みをよく聞きますが、思考を「私はどんな人かを伝えよう」から「私はお客様にどう役立つかを伝えよう」に切り替えると、プロフィールに載せる内容は自然と絞れてきます。
「誰に」伝えるかを明確にする
プロフィールは、対面の自己紹介と似ています。
たとえば私の場合、相手が仕事関係の人であれば「コピーライターの平田と申します」と自己紹介をしますが、もし相手が子どもの同級生なら「2組の平田君のママだよ」言います。

発している言葉は全く違いますが、私という人物は同じ。
つまり、自分のどの面を見せるかを、相手によって変える必要があります。
だからまずは、顧客像を明確にするのが重要です。
もし媒体によってターゲットが違うなら(ホームページは法人向け、SNSは個人向けなど)、プロフィールは書き分ける必要があります。
「なんのために」伝えるのかを明確にする
自分のことを1から10まですべて伝えるのではなく、相手にどう思ってほしいのかによって、載せる内容を取捨選択します。
たとえば「この人なら安心して話せそう」と思ってもらいたいならお客様から寄せられた声を載せる、「こんなに実績がある人なら安心」と思ってもらいたいならこれまでの対応件数を載せるなど、プロフィールの目的に合わせて選んでいきます。

ありがちNGプロフィール3選
全部載せ系
自分のことを1から10まで伝えようとして、不必要に長くなってしまうパターン。最後まで読んでもらいにくく、読まれたとしても「で、結局、どんな人なの?」と思われてしまう可能性が高いです。
1975年、○○県××市に、公務員の父と会社員の母の間に生まれました。結婚したら家庭に入るのが当たり前の時代だったので、母親がフルタイムで働いているのは珍しかったです。3つ上の兄が1人いて鬼ごっこからファミコンまで、なんでも仲良く遊んでいました。今となっては信じてもらえませんが、小学校ではおとなしい目立たない子でした。国語の教科書の音読ですら、声が震えて顔が真っ赤になってしまうほどでした。一方、習っていたピアノには夢中になり、年に一度の発表会が楽しみでした。今でもピアノは続けています。小3になると中学受験のため、県外の塾に通い始めました(以下略)
ここまでで264字と原稿用紙半分以上の字数を使っているのに、まだ小学校3年生。1975年生まれの人ですから、1980年代前半までしか話が進んでいません。
この調子で書き連ねたら、現在に辿り着くまで相当な時間がかかりそうです。
文章だったら読まずにスルーするという選択肢がありますが、もし交流会など対面で会ったときに「1975年、○○県××市に、公務員の父と会社員の母の間に生まれました。結婚したら家庭に入るのが当たり前の時代だったので、母親がフルタイムで働いているのは珍しかったです。3つ上の兄が……」などと話し始める人がいたら、どうでしょう。
「長くなりそう……」とうんざりするのではないでしょうか。

他人の“自分語り”を聞きたい(読みたい)人はいません。
相手や状況に合わせて、不要な情報は削って相手が興味を持つ情報のみを厳選して伝える必要があります。
シンプル過ぎて殺風景系
全部載せ系とは真逆で、情報が少な過ぎて人となりがまったく見えてこないパターンです。
1975年 ○○県××市生まれ
1998年 ■■大学卒、株式会社△△入社
2002年 ◇◇の資格を取得
2010年 独立し、□□事務所を設立
出身地、出身大学、保有資格などのスペックをわかりやすく伝えられる書き方です。一方で、どんな人柄でどんな実績があるのかなどが見えてきません。
プロフィールを一通り書いた後、最後に補足としてこうした時系列の経歴を書くのはいいと思います。
ただし、スペック的なことが伝われば充分という状況もあるので、こうしたプロフィールが絶対に間違いというわけではありません。
あくまで、状況や相手に適したプロフィールになっていることが重要です。
不幸自慢系
一部の起業家界隈では「V字回復した経歴は共感を呼ぶから、苦労した過去を載せるべき」という考えがあり、借金、離婚、ギャンブル、複雑な家庭環境、リストラなど、あらゆる不幸エピソードがてんこ盛りのプロフィールが多数存在します。
私もこの思考に染まっていた時期があり、年に2回会社都合で失職した話や、育休復帰後4ヶ月で離職した話をプロフィールに盛り込んでいました。
当然、長くてまとまりのないものになります。
でもよく考えたら、私のお客様は法人の代表者がほとんど。
真剣に経営をされている方にとって、私のリストラや育休復帰失敗の過去が重要だろうか?
そう思いなおし、現在は削除しました。

ただし、女性個人事業主の参加者が多いセミナーで講師をするときのプロフィールには、育休復帰後にすぐ退職して自分で仕事をしてきた経歴を載せています。
出産や育児を機に会社員を辞めて起業した人が多いため、自分と似た境遇から這い上がってきた人の話なら聞いてみたいと思ってもらうためです。
繰り返しになりますが、プロフィールは単なる自己紹介ではなく、「私はあなたの役に立てます」と伝えること。経歴を通じて相手にメッセージを送る行為とも言えるため、伝える相手に合わせてプロフィールも変えることをおすすめしています。
プロフィールのテンプレート
就職活動の経歴であれば時系列で載せるのが一般的ですが、仕事を獲るためのプロフィールは、略歴→現在→過去→未来の順番が書きやすいです。
ざっくり全体像をまとまると以下のようになります。
私はこういう者です。今、こんなことで困っている人に対してこんなサービスを提供して、こんな成果を上げています。過去にこういうことがあって、今の仕事を始めました。次はこんなことを目指します。
作成のポイントは、いきなり文章を書こうとしないこと。まずは情報を整理し、載せる内容を吟味していきます。
その方法をお伝えしてきます。
プロフィールに載せる内容の整理方法
略歴
生まれ年、出身地、最終学歴など。年齢、地元、出身校が同じだと親近感を持ってもらえることがあります。
ただしすべてを掲載する必要はなく、相手に合わせて取捨選択します。
一流大学を出ているあるコンサルタントは、経営者向けプロフィールには信頼感を出すため出身校を載せているものの、起業志望の主婦向けプロフィールからはあえて削除しています。
必要以上にすごい人と思われると依頼するハードルが上がってしまうからだそうです。
現在
単に職種名を書くだけでなく、「誰に、どんな商品・サービスを提供して、どのような結果を出しているか」という内容にします。
実績も必須です。
「たくさんの」「多くの」などではなく、可能な限り数値化します。
すべての実績を数えることは難しいかもしれませんが、たとえば「月の平均受注件数が10件で2年間続けているから、10件×24ヶ月で240件」など、ざっくりでいいので計算します。
- のべ○人にコンサルティングを実施
- 制作したサイトは○以上
- 新規入会者数が月1~2人から5人へ
- コンバージョン率が○%向上
私はコールセンター勤務時代に3万件以上の顧客対応をしてきたことをアピールポイントのひとつにしているのですが、次のように計算しました。
1日平均25件電話対応
→ 25件× 20営業日=500件/月
→ 500件×12ヶ月= 6000件/年
→6000件×5.5年=33,000件
計算してみると「こんなにやっていたんだ」と自分で驚くこともありますので、ぜひ数値化してみてください。
数値化がむずかしいときは、お客様の心身の変化や喜びの声を載せます。
- こんなに話を聞いてもらえたのは初めてと言われた
- 足腰が弱っていると感じパーソナルトレーニングを始めて半年経つ高齢の受講者から、気づいたらバスに駆け込み乗車していたと報告を受けた
過去
過去の経歴の中から、「今の仕事につながる職歴や価値観」をピックアップします。
たとえば私の場合、コピーライターになる前はコールセンターで働いていたのですが、そこで培った顧客視点を文章作成にも活かしているという内容を載せています。
会社員時代にしがらみがあってできなかったことを実現するために独立した、子育てを通じて感じた社会的課題を解決するため起業した、など、起業・創業のきっかけを掲載するのもひとつの方法です。
未来
年商○億円など個人的な野望ではなく、「仕事を通じてどんな社会的課題を解決していきたいか」という視点での展望を書きます。
プライベートプチ情報
最後に人柄がわかる情報を載せておくと、親近感がわきます。お手本は、テレビ東京の選挙特番。「原付免許に2回落ちる。選挙では落選知らず」「娘とGLAY20万人ライブ。年に1、2回はぎっくり腰」「バンジージャンプに挑戦も足すくみ飛ぶまで10分」など、どこから集めてきたんだと感心する候補者のエピソード毎回紹介され、いつもネットをにぎわせています。
場合によってはふざけていると思われ逆効果なので、業界や顧客層を考慮したうえで掲載するかどうかを決めましょう。
ちなみに私は「趣味はジャズダンスとクラシックバレエ。前後左右180度開脚できるのがプチ自慢。小学生の時に数年で挫折したピアノを44歳で再開。何歳になってもチャレンジ精神を持ち続けたい」とプライベート情報を出しつつ、自分のマインドをさりげなく伝えています。
プロフィールにふさわしい文体
文末は、です・ます調を避けたほうが締まった印象になります。
ただし、体言止めの使い過ぎは要注意。連続するとプツプツ切れた印象になるので、用言止めも併用するとリズム感が出ます。
△です・ます調
1983年東京都渋谷区に生まれました。出身は○○大学です。新卒で株式会社○○に入社しました。営業部に配属され、法人営業の経験を積みました。入社2年目に年間○円を売り上げ、社長賞を受賞しました。
△体言止めの連続
1983年生まれ。東京都渋谷区出身。○○大学卒。新卒で株式会社○○入社。営業部に配属。法人営業を担当。入社2年目に年間売上○円を達成。社長賞を受賞。
〇ほどよくミックス
1983年東京都渋谷区生まれ。○○大学を卒業後、株式会社○○の営業部に配属され、法人営業の経験を積む。入社2年目に年間○円を売り上げ、社長賞を受賞。
プロフィールの作成事例
2019年に作成したものですが、ご自身で新しい情報を追加しながら現在も活用していただいています。
1977年生まれ。日本女子大学を卒業後、鎌倉にある画廊に就職。アメリカから一時帰国していた今の夫と出会った翌日から交際をスタートし、半年後には妊娠が判明。結婚を決めて2003年に渡米し、ボストンで長女を、翌年にはサンタモニカで次女を出産する。
子育て開始と同時に、夫にイライラして八つ当たりをしたり子どもにきつく接したりしてしまう「フキゲン妻」に豹変。自己嫌悪に陥る日々を送る。
2006年に帰国。幼稚園の先生とそこで知り合ったママ友との交流を通じ、不機嫌の原因は「我慢は美徳」「人に頼ってはいけない」「他人の目線がいちばん大事」といった旧世代から引き継いだ価値観にあり、外で良妻賢母を演じるストレスを家庭内で発散していたことに気づく。育児書や心理学の書籍で学びながら、他人軸ではなく「自分の本音」と向き合い行動・言動を変えるトレーニングを続けたところ、徐々に夫と子どもとの関係が改善。ご機嫌な毎日を送れるようになる。
2009年に三女を、2011年に長男を自宅で出産。2012年に夫の仕事の都合でシンガポールに移住。2015年に子育てアドバイザーの資格を取得し育児コラムサイトでライター活動をはじめ、並行してブログを毎日更新する。ブログやコラムサイトにフキゲン妻時代のエピソードを掲載したところ「自分のことかと思った」と、続々と反響が寄せられる。
かつての自分と同じ悩みを抱える人がたくさんいると知り、2017年に「フキゲン妻研究家・カウンセラー」として、メールと対面による相談業を開始。2018年にインターネット上のコミュニティ、「ごきげん妻塾」の開講を告知したところ、1日で定員の2倍以上の応募が殺到。現在は第2期を、少人数で、さらに手厚い内容でスタート。ディスカッションなどを通じてごきげん妻マインドを養っている。
2019年4月
・全米NLP協会認定 NLPプラクティショナー
・NLPコーチング プラクティショナー
・全米タイムラインセラピー®協会認定 タイムラインセラピー®プラクティショナー
の認定資格を取得。コーチング・カウンセリングでは、アドバイスはほとんどしない。自分の本音に気づくことや、大切な人に愛情を表現することの重要性を伝え、「自分を大事にし、自分軸で考えるスキル」を磨くサポートをしている。クライアントからは「夫との会話が増えた」「家族と一緒に寝るだけで幸せを感じられるようになった」「勝手に罪悪感を持っていたことに気づいた」などの声が寄せられ、カウンセリング中に涙を流す人も少なくない。
2012年にシンガポール移住。嫁姑完全同居スタート。
かつては嫁姑関係で揉めていたが、自分の本音と向き合うことで関係が改善。フキゲン妻から脱却するメソッドは、良好な人間関係構築に応用できると実感している。
さらにクライアントの変化を速めるスキルを身に着けるべく、2019年、全米NLP協会プラクティショナーの資格を取得。2020年NLPマスタープラクティショナー資格取得。NLPマスタ―コーチに。さらに、たった5名のうちの1人として、上級NLPマスタ―コーチとして認定を受ける。
2020年スペイン、マドリッド移住。
2021年、マドリッドで第五子を自宅出産。
2022年、京都へ移住。夫、四女一男、姑の8人家族。2022年6月にごきげん妻塾上級クラス(仮)「追い妻塾」をローンチ、すぐに満席となる。
目標は、旧世代の価値観を自分たちの代で断ち切り、フキゲン妻の再生産を止めること。その一環として、「本音に気づいてフキゲン妻から脱却する方法」について出版したいと考えている。
引用元:https://www.ameba.jp/profile/general/tamken4930/
このときの感想です。
ホームページに掲載している私のプロフィールも紹介します。
1978年川崎市宮前区生まれ。成蹊大学文学部卒。大手消費者金融、外資銀行、国際海上輸送などでカスタマーサービスに従事。顧客対応件数は3万件以上。
2011年に歯科医療企業の専属コピーライターに転職し、2015年に独立。取材・執筆実績は1000件以上。
代表挨拶、会社紹介、商品紹介、人材採用など、ビジネス系の文章を主に手がける。担当した業界は、建設、メーカー、造園、IT、歯科、福祉、美容、不動産、結婚相談所、治療院など、BtoB・BtoC問わず幅広い。
理念や信念を伝える文章に定評があり、自社の強みの言語化に悩む中小企業の経営者から「伝えたいことを言葉にしてもらえた」と喜びの声が寄せられている。
文章による集客も得意としており、1年間販売実績ゼロだった法人向けソフトウエアを、販売ページ改善とメルマガ4通で1ヶ月後に初売上をつくる、メールマガジンの開封率が15%アップ、ピアノ教室の新規入会者数が5倍になるなどの成果を出している。
東証プライム上場企業から個人事業主まで幅広く関わる中で、企業や商品の価値を伝えられずチャンスを逃しているケースが多いことに気づく。コピーライティングはすべての事業に役立つことを広めるために、講師業にも注力。集客・売上を改善したい小規模事業者から好評を得て、受講者は累計200人以上。
私生活では2013年生まれの男児の母。ワンオペ育児と仕事の両立に挫折し育休復帰後4ヶ月で退職し、1歳児を抱えて無職になる。外出もままならない中、ブログで発信を始めて少しずつ仕事を受注。ブログ記事が大手総合サイト『オールアバウト』系列のサイトに取り上げられ、商業出版やテレビ出演実績がある著名人がひしめく中でアクセスランキング1位を複数回獲得。週刊誌『AERA』の目にも留まり取材を受ける。文章力と発信力があれば、無名でもチャンスを掴めることを体当たりで実践している。
趣味はジャズダンスとクラシックバレエ。前後左右180度開脚できるのがプチ自慢。小学生の時に数年で挫折したピアノを44歳で再開。何歳になってもチャレンジ精神を持ち続けている。
引用元:https://hirata-writer.com/profile/
プロフィールは、掲載する媒体や読者によって調整しています。
次のプロフィールは、広報専門誌の編集部に向けて送った企画書に記載したプロフィールです。
取材コラム連載の企画だったため、取材スキルを前面に出しています。
東証プライム企業から個人事業主まで、幅広く取材・執筆を行うコピーライター。人見知りであがり症のため最初は取材が恐怖だったが独学で学び、取材実績は1000件超。「こんなに話しやすい取材は初めて」「頭の中が整理された」「つい話しすぎちゃった」「質問力がすごい」などの声をいただく。取材ノウハウのブログ記事が編集者の目に留まり、『JA広報通信』にて「情報を伝えるプロになろう!現場で学ぶ土壇場の取材力」を1年間(12回)連載した実績あり。横浜市内のコワーキングスペースで、不定期でコピーライティング術の講師を務める。プロが当たり前にやっている技術を言語化・体系化し、未経験者にわかりやすく伝える講義には定評がある。
このように、目的や読者によってプロフィールは大きく変わります。
自分の経歴をコンパクトにまとめるのではなく、「自分のどの面を見せたら、ビジネス上で信頼を得られるだろう?」と考えて、プロフィールに載せる情報を取捨選択するのが大切です。
なお、この企画書は採用され、1回の寄稿と6回の連載のお仕事につながりました。
次は、企業のプロフィールを伝えませんか
プロフィールが個人の顔となるコンテンツだとすれば、企業の顔となるコンテンツは会社紹介文や代表挨拶文です。
企業の強みや過去・現在・未来のストーリーを伝えることで、取引先、従業員、地域住民、求職者など幅広い関係者から信頼を得られます。
書き方についてはこちらをご覧ください。
当事務所は、「あつらえ文章工房」の屋号が示すように、一社一社に合わせて文章をあつらえ(オーダーメイド)ていきます。
「自社で書いてみたけれど、上手くまとまらない」
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