私はコピーライターとして、代表挨拶、経営理念、会社紹介などの文章を社長さんに代わって作成しています。
そのときにたまに言われるのが「ウチには強みなんてない」「他社と大して変わらない」という言葉。
しかしお話を聞いているうちに、必ず良いところが見つかります。
今まで強みがゼロだった企業は一社もありません。
3C分析、SWOT分析などのフレームワークを活用した方法は他の記事に譲り、ここでは中小企業を取材し記事を書いてきた経験をもとに、中小企業の強みを見つける方法をお伝えします。
「当たり前にやっていること」は強みになる
仕事への姿勢や経営方針も強みになります。
ある運送業の社長さんは、「ウチには特色なんてないから」と謙遜していたものの、取材を進めていくと、遅延などの情報はいち早くお客様に伝えて不安にさせないようにしていることがわかりました。
確かにこの社長さんと取材前にメールのやりとりをしたときもレスポンスが非常に早く、とてもありがたかったです。
相手を思いやるこの姿勢こそが強みだと考え、「運送業は業務内容で差別化がしにくく、モノを運ぶだけならどこの会社が担当しても変わらない。だからこそ、安心感という付加価値を加えている。おかげさまでリピーターが多い」という内容を代表挨拶文に盛り込み、迅速に連絡を入れる取り組みを紹介しました。
重要なのは、顧客満足、多様性、グローバルなどの一般的な言葉でまとめないことです。
この運送業の事例も、ひとことで言えば「顧客満足を第一に考え行動しています」ですが、これでは企業の良さが第三者には伝わりません。
具体的な取り組みやそれを行っている理由まで掘り下げて言葉にするようにします。
「社員の勤続が長いこと」は強みになる
いわゆる「ブラック」だと世間で思われている業界の場合は特に効果的です。
業界の平均やイメージと比較して社員の定着率が高いのなら、それは強みになります。
ある建設業の企業の社長さんに社員についてヒアリングしたところ、勤続10年前後の20代の社員が複数在籍していると話してくれました。
若手に人気がなく離職率も高いと言われている業界では珍しいことです。
詳しく聞くと、チャンスを与えて自ら行動できるよう促していること、辞めた社員が他社で指示通り働かされるのが嫌になって出戻ってきたこと、などを話してくれました。
これは強みだと思い、代表挨拶文には「若手の自主性を重んじ、社会が変わっても生き抜ける人材に育てている」という趣旨の内容と具体的なエピソードを盛り込みました。
「社長の人柄やキャラクター」は強みになる
別の建設業の社長さんは、「社員がいるから会社がある」「雇ってあげているなんて微塵も思っていない」「社員にいつも助けられている」と何度もおっしゃっていて本当に社員を大切にしていることが伝わってきました。
社長さんこそがこの企業の強みであると判断し、社員への感謝の気持ちと社員育成のための取り組みなどを代表挨拶文で紹介しました。
この企業の従業員数は20人前後。このくらいの規模だと、社長の人柄やキャラクターがそのまま企業の強みになるケースもあります。
特にこのときは人材採用をメインとした代表挨拶文だったので、「こんな社長のもとで働きたい」と思ってもらえることを目指しました。
「過去の失敗から立て直し中であること」は強みになる
さらに別の建設業の社長さんは、過去に若手人材が立て続けに離職した苦い経験を繰り返さないよう、組織の改革に取り組まれていました。
もちろんこのエピソードも代表挨拶文に掲載したのですが、単に「組織改革に取り組んでいます」では不十分。「口先だけではないか」と思われる可能性もあります。
だから過去の失敗とその原因を正直に伝えたうえで、どのような取り組みを行い、どこまで改善していて(20代の社員の比率が30%まで上昇したなど)、これからさらにどのように変えていくのかなど、具体的に掘り下げました。
課題解決のために行動して結果を出していることは強みになります。
たとえ発展途上であっても、企業の姿勢として打ち出す価値があるのではないでしょうか。
業界シェアトップや革新的な技術などだけが企業の強みではありません。
特に中小企業の場合は、当たり前に真面目に行っていることが強みになることもあります。
思い出してみてください。
ご自身が当たり前と思っていることができていない人や企業と仕事をして、不信感を覚えたことが一度はあるのではないでしょうか。
そうした不快感を与えない企業であることを伝えることで、安心感を与えることができずはずです。
ご自身で強みを見つけるのがむずかしいと感じたときはご相談ください。
貴社の強みを、代表挨拶文、経営理念、会社紹介、サービス紹介、人材採用などの文章に落とし込み、集客、イメージアップ、人材採用などにつなげていきます。