インタビューと聞くとむずかしそうですが、導入事例のインタビューは意外とそうでもありません。
なぜなら、聞く内容がほぼ決まっているから。
ライターや広報の経験がなくても比較的チャレンジしやすい分野です。
導入事例記事をつくるとき、「書き方」に注目が集まりがちですが、実はインタビューが何より大事。日本語にすると取材、つまり「材」料を「取」ってくる工程なので、料理にたとえるなら食材集めの段階です。
牛肉がなければビーフカレーがつくれないのと同じで、インタビューでの材料集めがいまいちだといい記事が書けません。
インタビュー後に「あれも聞いておけばよかった!」と防ぐために、導入事例取材のコツを紹介します。
必ず聞くべき質問3つ
- 製品の導入前、どんなことで悩んでいた?
- この製品を導入した決め手は?
- 使ってみてどんな良い変化があった?
- イマイチだった点と、そのフォロー体制
- 今後の展望や期待
導入事例の書き方の記事で紹介した内容と同じです。
1~3は必ず詳細を聞いて記事に盛り込みますが、4「イマイチだった点と、そのフォロー体制」と5「今後の展望や期待」は状況によりけりです。
特に不満がないのに無理してイマイチだった点を聞き出す必要はないですし、導入直後で今後の展望を考える段階でないお客様もいらっしゃいます。
特になければ、あまり深入りしなくても大丈夫。あまりしつこく尋問すると印象が悪くなるので気をつけましょう。
意外と重要。インタビュー前の挨拶・声がけ
インタビューは緊張するものです。
私はインタビューを10年以上やっていますが、朝食が食べられないくらいいつも緊張します。
早く終わらせたくなり、「当社製品を導入する前はどんなことに困っていましたか?」といきなり本題に入ってしまいがちですが、一呼吸置きましょう。
まずは、インタビューに協力していただいたことへのお礼を言います。
その次に、インタビューの趣旨を説明します。事前に書面で確認していることがほとんどですが、改めて説明すると印象が良いです。
取材にご協力いただきありがとうございます。
本日は、製品Aを導入した理由や導入後の変化などをぜひお聞かせくださいませ。
うかがった内容を記事にして、弊社ホームページに掲載させていただきます。
所要時間は○分ほどを予定しています。どうぞよろしくお願いいたします。
また、お客様の中には自分が話したことがそのままそっくり記事になると考えている方もいらっしゃいます。
そうした不安を取り除くため、「話したけれど記事化してほしくないところは言ってほしい」「原稿は公開前にチェックをしてもらう」の2点を伝えておくと親切。深い話をしてもらいやすくなるはずです。
ぜひ今日は、率直なご意見をお聞かせいただければと思います。
もし「こんなこと言っちゃったけど記事にはしてほしくない」と思われたときはお知らせください。
また、ホームページに掲載する前に原稿を確認していただくので、不都合な個所がありましたら訂正いたしますのでご安心ください。
もし録音をするときは、必ず許可をとってから。
いきなりレコーダーを目の前に置いて使い始めたら、印象が悪くなってしまいます。
お客様の回答に「ツッコミ」を入れる!
挨拶・声がけが終わったら、さっそく取材本番です。
基本的に、1から順番に聞いていけば大丈夫です。
- 製品の導入前、どんなことで悩んでいた?
- この製品を導入した決め手は?
- 使ってみてどんな良い変化があった?
- イマイチだった点と、そのフォロー体制
- 今後の展望や期待
とはいえ、質問の回答をそのまま書いても内容の薄い記事になりがちです。
実は、お客様の回答に「ツッコミ」を入れて深掘りしていくのがインタビューの真骨頂。これができるようになると、インタビューが楽しくなり、記事の内容も濃くなります。
「ツッコミ」を入れるポイントは2つあります。
具体例をもとに解説していきます。
ツッコミポイント①エピソード、数値、理由など
ミスが多発していました
どんなミスが、どのくらいの頻度で発生していましたか?
紙の書類のデータ化がなかなか進みませんでした。
なぜデータ化がなかなか進まなかったのかを教えていただけますか。
そもそも、データ化が必要だった理由も知りたいです。
他社製品より使いやすかったです
他社製品のどんなところが使いにくかったですか。
導入検討にあたり、社内からどんな意見が出たかも教えてください。
作業効率がアップしました
残業時間が何時間減った、コストが何%ダウンしたなど、数字の変化はどのくらいありましたか?
作業効率が上がり、従業員からはどんな声があがっていますか?
できる限り、具体的に聞くことがポイントです。
ツッコミポイント②言葉の定義を確認
同じ言葉を聞いても、人によって定義が異なる場合があります。
たとえば「コミュニケーション」のことを「普通の会話」と考える人もいれば、「心を通わすこと」だと考える人もいます。
これはカタカナ語に限ったことではありません。
外資系企業の社員にとって「基本的な英語力」は「会議やメールが難なくできるレベル」かもしれませんが、英語が苦手な人にとっては「中学卒業程度」である可能性もあります。
こうした定義を確認せずにお客様に言われた通り「社内のコミュニケーションが活発になり~」「基本的な英語力習得に最適なツール~」などと書くとどうなるでしょうか。
読む人によって思い浮かぶシーンが異なり、製品を導入した成果が正しく伝わらなくなります。
こうした事態を防ぐためにも、しっかり言葉の定義を確認することが重要です。
インタビューで素材が集まれば、導入事例記事の8割は完成したようなものです。
書き方についての記事も参考にしつつ、書いてみてください。