文章がイマイチな原因は、根本的な素材の選び方や活かし方に問題があるケースが感覚的に9割です。
添削ではそこまで斬り込むのはむずかしいため、個人的にあまりおすすめしません。販促や集客を目的とした文章の場合は特にそう思います。
添削では、文章の土台をなおせない
かつて私も文章添削サービスを行っていましたが、今はほとんど受けていません。
受けているのは、月単位で継続的にサポートしている方、基本的な文章力に問題がないとわかっている方のみです。
こちらが添削を行った一例です。
なぜ文章添削サービスをやめたかというと、お客様の望む結果を出せないから。
添削を行ううちに、そもそもの内容や素材の切り口に問題がある文章が多いと気づきました。
家にたとえるなら、地盤沈下が起きている状態です。
家が傾いて機能を充分に果たしていないのに、壁紙をきれいに張り替えたりインテリアに凝ったりしても意味がありません。

文章も同じように、そもそも内容に問題があるのに、表面的な表現や言葉を変えても効果は限定的だと考えます。
中途半端なアドバイスしかできないのがもどかしい
たとえばこちらの広告を見てください。店内を歩いていて、思わず「おっ、これはいい」と思って撮影したものです。

少し読みにくいので、文字だけを書き起こします。

なぜ良いかというと、「このサンダルを履くとどんないいことがあるのか」が伝わってきたからです。
「疲れ軽減」「脱着しやすい」「歩きやすい」「おしゃれなサンダルだけどスニーカーのように楽」。
こうした、「相手にとってどんないいことがあるのか」を専門的にはベネフィットと呼びます。
広告にはベネフィットを書くのが基本ですが、商品の機能説明に終始しているものが実は大半です。
たとえばこの広告を、悪いほうに書き換えてみます。

こんな広告を見たことはありませんか。
これを見て「このサンダルがいい」と感じる人は少ないと思います。
もしこの広告の添削を依頼されたら、「このサンダルを履くとどんないいことがあるのかを伝えるようにしましょう」とアドバイスするのが正解です。
でも、そうアドバイスされてすぐに書き直せる人は稀。私はこのサンダルについて何も知らないため、的確な具体例も出せません。
対面でベネフィット(相手にとってどんないいことがあるのか)について説明してサンダルについてヒアリングするのが最適な解決策ですが、添削料金の相場が1ページあたり千円~数千円と考えると、まったく割が合わないのです。
そうなると、「『考慮』を『考えた』にしたほうがわかりやすいです」といったレベルのアドバイスが関の山。これではお客様の本当の課題を解決できないと思い、添削サービスはやめました。
文章は書く前の準備が最重要
もちろん、添削を否定するつもりは一切ありません。
むしろ絶対に必要です。
今、コピーライターとして仕事ができるのは、会社員時代の上司や先輩が何百回、何千回と私のヘタクソな文章を真っ赤に添削してくれたおかげです。
問題なのは、最終的なアウトプットである文章「だけ」を見ても、できるアドバイスが限定的になってしまう点です。
誰に向けて書いているのか。
どういう目的があるのか。
こうした前提がわからないと、文章を表面的に整えることしかできません。
今、とある企業のホームページとコンテンツマーケティングのコンサルティングを担当しているのですが、ターゲットの明確化や強みの言語化などのコンセプトづくりから一緒に行いました。
土台となる部分を把握しているから、お客様が書いた文章に対して「この言葉だとターゲット層に理解されにくいから、こう書いたほうがいいいのではないか」などのアドバイスができます。