ライターに必要な「取材力」を学べる書籍3冊

ライターとシェフは似ています。
シェフは当然、調理の腕前がありますが、良質な食材を見極める力も必要。
しなびた野菜じゃ、おいしいサラダはつくれないですからね。

ライターも同様に、文章力があるのは当たり前。
そのまえの素材を取ってくる段階、すなわち取材をするスキルも欠かせません。

誰に話を聴くのがベストかを見極め(ここは編集者の役割になることもありますが)、取材当日は必要な情報を最大限引き出す。
ここで失敗すると文章を書く段階で苦労するし、クオリティも下がります(経験済み)。

もともと人見知りでコミュニケーション力が低いので、なんとか勉強で補おう書籍を読み、実践しています。
その中から、おすすめの3冊をご紹介します。

聞く力-心をひらく35のヒント

この本が発売された2012年頃、取材がうまくいかずに悩んでいました。
ライターになって1年未満の頃です。
取材中に話があちこちに飛んでしまい、会社にもどってから記事にするには素材が全然足りないのに気づいて青ざめる……。
自分なりに工夫を重ねていたものの同じようなミスを繰り返してしまい、取材が恐怖となっていました。

ところがこの本を読み、パアっと道が開けていく感覚があったことをおぼえています。

特に役立ったのが、「事前に質問リストをつくって順番に聞くのではなく、相手に耳を傾けその場で次の質問をつくっていく」という方法。
まさに私は、アンケートのような取材を行っていました。

「Aについて質問したらDについても触れながら答えてくれたけれど、順番が狂うから次はBを聞かなきゃ」という風に。
そして相手がDについて忘れたころに私がDについて聞くものだから、会話がブツブツ途切れてひとつひとつのやりとりが中身が薄いものになってしまい、「素材が足りなくて記事が書けない!」という事態になっていたのでした。

でも「聞く力」を読んでからは、外せないポイントだけをいくつかピックアップしてメモしておき、そこから逸脱しない範囲で臨機応変に会話をするというスタイルに変更。
取材のコアになる部分を決めておけば、相手の話に耳を傾けて次の質問をつくる余裕ができます。

この書籍では、テクニックというより「相手の話を聞くとはどういうことか」を学べます。
取材力を高めたいライター、取材に苦手意識のあるライター、取材に挑戦したいライターに最初に読んでほしい1冊です。
私のライター人生のなかで、いちばん役に立った書籍かもしれません。

外資系コンサルに学ぶ聞き方の教科書

著者の清水久三子さんの講義を受けたことがあり、興味を持って読んでみました。
事前準備の方法が非常に参考になります。

特に、仮説を立ててから取材に臨むというメソッドがおすすめ。
たとえばカメラを買いたいと思ったとき、いきなり「どのカメラがいいですか?」と店員さんに聞いても、向こうも困ってしまうし漠然とした情報しか得られない可能性があります。

でも事前にどんな写真を撮りたいかを絞り込み、ネットなどで情報収集をして「初心者が旅行先で景色を撮るにはニコンの××が向いているのではないか」と仮説を立てたうえで店員さんに質問すれば、短時間で濃い情報を手に入れられるでしょう。

私は歯科衛生士を取材することが多いのですが、事前にいただくプロフィールを見て仮説を立てています。
「新卒から12年も働いている。患者さんと長期につきあうことを大切にしている医院なのかな? 治療方針や院長の考え方は要チェックだ」
「35歳で再就職している。お子さんがいるのかな? 子育て中でも働きやすい環境が整っているのか聞いてみよう」

仮説が当たっていると、取材がものすごくはかどります。
もちろん外れていることもあるのですが、仮説を立てる過程で取材対象への理解が深まるので、意外とスムーズに軌道修正ができます。

「良い質問」をする技術

質問を「良い質問」「悪い質問」「軽い質問」「重い質問」に分け、それぞれの特徴や効果が解説されています。

「良い質問」のつくりかたの部分は非常に参考になりました。
著者は、ジャーナリストの池上彰さんの「いい質問ですねえ!」というおなじみのセリフを例として取り上げ、こう解説しています。

「良い質問」とは問われた人に新たな気づきを与え、その人に新たな思考や行動を引き起こす力があるのです。
(中略)池上彰さんのこうおっしゃるときは、その質問が周囲の出演者やテレビの視聴者に(そして、もしかしたら池上さん自身にも)なんらかの気づきを与え、次への展開を促したときなのではないでしょうか。
「良い質問」をする技術
P17~19より

実はこの本の「良い質問」のつくり方を参考に事前準備をして取材に臨んだら、取材対象者から「いい質問ですね!」と言われました。
即効性バツグンです(笑)。

すぐに使える手法をひとつ紹介すると、あいまいな言葉をスルーせずにその人なりの定義を聞くこと。
たとえばオンラインスクールの主宰者を取材したとき、「オンラインの本質じゃない」という言葉が口から出てきたので、私はすかさず「あなたの考えるオンラインの本質とは何ですか?」と質問しました。

すると「海外のリゾート地でオンラインで仕事してます、なんて投稿をたまに見ますよね。でもオンラインの本来の良さは、日常生活に自然に組み込めることだと思います」と答えてくれました。

同じ物事でも、人によってとらえ方は違います。
そこをハッキリさせていくのが取材の役目。
その人やその組織らしさが聞き出せれば、オリジナリティの高い記事に仕上がります。

取材について勉強するなら、カウンセラーやコンサルタント向けの本がおすすめ

タイトルに「取材」や「インタビュー」と入っている書籍はあまりありません。
以前、タイトルに惹かれて「インタビューの教科書」というのを読みましたが、いまいちでした。

先ほど挙げた3冊の著者は、タレント、コンサルタント、ビジネスコーチと、ライターは一人もいません。
同業者よりも人の話を聞くことのプロの本が役立つようです。
ぜひ書籍選びの参考にしてください。

取材の実践的なコツをまとめています。
ライター志望者や経験1年未満の方は必読!