40代以上向けのメイクブックの添削を担当しました。
写真はごく一部で、合計34ページです。
依頼者は、ホームページ原稿の一部も書かせていただいた株式会社美キャリアラボの代表、平井聡子さん。
ちょっとの工夫で文章が生まれ変わるのが本当に楽しい!
平井さんからも、「添削されたものを見ながら、なんと簡潔わかりやすいか!と感動しています」と感想をいただきました。
そしてありがたいことに、添削前の文章を公開してもいいとのこと。
コピーライターがどんな視点で添削しているかを、実例にもとづき解説します。
文章のセルフチェックにお役立てください。
添削ポイント1.同じ言葉を繰り返していないか?
意識しないと必ずやってしまうのが、同じ言葉を繰り返すことです。
明るい部屋でメイクをする
洗面所でメイクをしていませんか? 蛍光灯の下で化粧をすると、色がわかりにくく、メイクが濃くなっても気づかないことがあります。自然光が入る部屋でメイクするのがベスト!
明るい部屋でメイクをする
洗面所でメイクをしていませんか? 蛍光灯の下だと色がわかりにくく、濃くなっても気づきにくくなります。自然光が入る部屋がベスト!
短い文章ですが、「メイク」が4回、「化粧」が1回出てきました。
話し言葉だとあまり気にならないのですが、文章にするとまどろっこしく感じます。
前後1行に同じ言葉が出てきたら、「削れないか」「ほかの表現を使えないか」と考えましょう。
余分な言葉は極力減らすのがポイントです。
ただし、強調したいなどどうしても必要な場合は、無理して削る必要はありません。
添削ポイント2.見出しと中身が合っているか?
ネットニュースの見出しに興味を持ってクリックしたものの、内容がまったく違ってがっかりした経験はありませんか。
私が印象に残っているのは、「妻が反撃!不倫夫への壮絶な復讐」みたいなタイトルなのに、単に弁護士に相談しただけだった、というものです。
ここまで極端でなくても、見出しと中身の不一致に読者は違和感を覚えます。
見出しが「〇〇な理由」であれば理由を、見出しが「〇〇するコツ」であればコツを。
きちんと統一するのがポイントです。
眉メイクで大事な事
- 眉の色は髪色に合わせると自然に見える
- 眉は脇役。濃くならないよう注意!
- 左右対称に見せるコツは、眉頭の高さ、太さを合わせるようにすること
- 力を抜くと上手に書けるようになる
眉メイクで大事なこと
- 眉の色は髪色に合わせる
- 眉は脇役。濃くならないよう注意!
- 眉頭の高さ、太さを左右対称にする
- 力を抜いて描く
まず、「大事な事」だと「事」が続いて見にくいので「こと」に修正します。
見出しが「こと」ですが、たとえば「眉の色は髪色に合わせると自然に見える」は「こと」ではありません。
こうした不自然さを微調整をしました。
伝えている内容は同じですが、「大事なこと」が何かがよりクリアになったと思います。
添削ポイント3.比較対象は適切か?
比較には、伝えたいことを際立たせる効果があります。
この記事も、まさに「ビフォア・アフター」の比較。文章が生まれ変わる様子を強調しています。
10年以上も自己流メイク。今の顔に合うメイクがわからない
パっと見、問題ないと思います。
私も最初はスルーしました。
でもよく見ると、「自己流メイク」と「今の顔に合うメイク」が、比較対象として適切でないと気づきました。
自己流とは「自分のやり方を貫くこと」であり、「今の顔」と比べる意味がないからです。
10年以上同じメイク。今の顔に合うメイクがわからない
長年同じメイクをしていることが際立ちました。
添削ポイント4.特定の人や属性を批判していないか?
読者に注意を促す意味で、他の商品、やり方、人、企業などへ批判が必要なときもあります。
でも直球でダメ出しをすると、それを選んでいる人は良い気はしません。
「なんでそんなこと言われないといけないの?」と反発し、その先を読んでもらえなくなる可能性もあります。
会話と違い文章は一方通行です。
口調や雰囲気も伝わらないから、額面通り受け取られて誤解を生みやすいもの。
批判的なことを書くときは、細心の注意を払いましょう。
批判対象を特定せず、「社会的な風潮や時代の流れから、こちらのほうが良いですよ」という表現にすれば、相手もメッセージを受け取りやすくなります。
眉が上手に書けない人は、昔の眉を引きずっているのかも。眉ひとつでメイク全体の印象が決まってしまう恐ろしいパーツです。昔流行った細眉やアーチ眉は顔を老けさせる要因なので注意しましょう。少し太さがあるほうが若々しく見えます。
眉は沿う人を印象付ける大切なパーツですが、主役ではないので濃く書かないようにしましょうね。眉に自信がない人は、「薄く描く」「描いたらぼかす」これだけでもいいんです。気がラクになるでしょ!
古い眉から似合う美眉に変身しましょう。
「眉が上手に書けない人は昔の眉を引きずっている」と特定の人を批判しているのと、「恐ろしいパーツ」という表現がネガティブな印象を与えてしまいます。
メッセージ自体はまったくネガティブではないのに、これではもったいない!
眉は印象を左右する重要なパーツ
↓
でも主役ではないから、濃く描かなくても大丈夫
↓
肩ひじ張らずに「薄く描く」「描いたらぼかす」を意識すればOK!
↓
昔流行った細眉やアーチ眉は老けて見えるので卒業しましょう
上記のように提案しました。
特定の人を批判しなくても、「今自分がやっていることはあまり良くない」ことがそれとなく伝わると思います。
※長文の添削の場合、一字一句の修正案は出さずに全体の流れを提案しています。
添削ポイント5.表記は統一されているか?
表記がバラバラだと、洗練されていない印象を与えてしまいます。
申し込みor申し込み
分かるorわかる
さらさらorサラサラ
後になって統一すると大変なので、書く前に自分なりの基準をつくり、一覧表にしておくと便利です。
「」『』など、記号を使う基準も決めておくとなお良いです。
添削の意義は、「意図したとおりに伝わる」ようにすること
添削の目的は、誤字脱字の修正や文章をわかりやすくするだけではありません。
スムーズにさらさらと読み進められるけれど書き手の意図が読み手にしっかり伝わり、「買ってみよう」「試してみよう」など、行動を起こしたくなる文章に仕上げることを目的にしています。
現在、添削単体はお受けしていませんが、販促物の見直しや作成をサポートするサービスを行っています。