私はコピーライターですが、最初からスラスラ書けたわけではありません。
上司や先輩に何度も真っ赤に原稿を添削していただき、おかげさまで文章で飯が食えるようになりました。
そんな元素人の私が実践してきた、読みやすくわかりやすい文章を書くコツを8つ紹介します。
コツ1.1記事1テーマ
文章を書くうえでの基本中の基本です。
「文章の書き方」について書くのなら、お気に入りの文房具についてくどくど語らない。
「新宿でおすすめのイタリアンレストラン」について書くのなら、大好きな恵比寿のパンケーキ店の情報は別記事に書く。
無関係なことをダラダラ書かないためには、いきなりキーボードに向かわず「何について書くのか」を紙に箇条書きにすることをおすすめします。
キーボードだとガーッと打てるから、余計なことを書いてしまいがち。
まずは紙の上で頭の中を整理しましょう。
コツ2.一文を短くする
ライター初心者の99%が、「一文が長い」と上司に注意されます。
私もそうでした。
とにかくこれは、意識するしかありません。
- 「、」が2回以上出てくる
- 「~なので」「~だから」「~ですが」などの接続詞が出てくる
上記に当てはまったら、文を2つに分けられないかを考えてみましょう。
コツ3.意識して長文も混ぜる
ライターになって半年くらい経った頃、やっと一文を短く書くコツがつかめてきました。
しかし今度は、上司にこう言われたのです。
「短文を意識しているのはすごくいいけれど、今度は文章がブツブツ切れている印象がある。意識して長文を入れてごらん」
確かに、なんだか文章が箇条書きみたい……。
これ以来、あえて長い文章を入れたり、極端に短い体言止めの文章を加えてバシッと締めたりと、アクセントをつけるようにしました。
たとえば、こんな感じです。
お客様がほしいのは商品そのものではなく、商品によってもたらされる良い結果。
これをベネフィットと呼びます。
たとえば、ほしいのはダイエットサプリではなく、スリムになっておしゃれを楽しめることだったり自分の自信を持てることだったりするのです。
文章が書けない原因は、「何を書くか」が決まっていないのに「どう書くか」を悩んでいるからです。
料理にたとえるなら、鶏肉がないのにチキンカレーがつくれないと悶々としているようなもの。
材料がないのに、肉や野菜の切り方やスパイスの調合を勉強したって、チキンカレーができあがるわけがないのです。
逆に材料さえそろっていれば、材料の大きさが不ぞろいだろうと、ルーがちょっとシャバシャバだろうと、チキンカレーはつくれます。
文章も同じ。
まずは材料集め、つまり「何を書くか」を決めることから始めましょう
コツ4.語尾のバリエーションを増やす
同じ語尾が続くウェブ文章は、単調な印象を与えて離脱につながります。
たとえば、次の悪い例を読んでみてください。
今日、編集者から電話がかかってきました。25日に取材に行ってほしいという依頼でしたが、その日は子どもの三歳児健診の日でした。とても面白そうな取材だったので行きたかったのですが、残念ながらお断りすることにしました。でも25日の朝、子どもが熱を出しました。もし取材を受けていたら、病児保育室やベビーシッターの手配で大変だったと思います。子育てと仕事を両立するのは大変だと改めて思いました。でも子育て中でも好きな仕事をすることは、人生を充実させるのにとても大切なことだと思いました。
「~した」が目立ちます。
基本的に、同じ語尾が続くのは好ましくありません。
多くても2回連続までに留めるのがベストです。
具体的に、語尾のバリエーションを増やす方法をご紹介します。
体言止めを使う
一番手軽なのは、体言止め(名詞で文章を終わらせること)です。ただし多用しすぎると文章がブツブツ切れる印象になるので、バランスを見て使いましょう。
「その日は子どもの三歳児健診の日でした」
→「その日は、子どもの三歳児健診」
「~に」「~へ」「~が」などで文章を終わらせる
残念ながらお断りすることにしました
→残念ながらお断りすることに
若干カジュアルな表現ですが、「~ました」がひとつ減ってスッキリ。
この後にもまだ続きがあると予感させる効果もあります。
私は学校へ行き、彼は会社へ行きました
→私は学校に行き、彼は会社へ
なんと、彼から電話がかかってきました!
→なんと、彼から電話が!
動詞で文章を締め、代名詞から文章をスタート
好きな仕事をすることは、人生を充実させるのにとても大切なことだと思いました
→好きな仕事をする。それは、人生を充実させるためにとても大切なことだと思いました
語尾のバリエーションが増えるだけでなく、「好きな仕事をする」の部分を強調する効果もあります。
「~んです」「~だったんです」を使う
カジュアルな文章の場合は、「~ます」「~した」の重複を避けるため、「~んです」「~だったんです」を使うのもひとつの方法です。
ただし、使いすぎると子どもっぽい洗練されていないイメージになるので要注意!
倒置法を使う
倒置法とは、文章の順番を入れ替える方法です。
やっと、これこそが私がやりたかったことだと気づきました。
→やっと気づきました。これこそが私がやりたかったことだと
語尾のバリエーションを増やすだけでなく、後半の文を目立たせる効果もあります。
だから多用しすぎず、強調したい箇所にだけ使うようにしましょう。
同じ言葉を繰り返さず、別の表現を使う
これは語尾とは直接関係ありませんが、すぐに取り入れられるテクニックなので紹介します。
先ほどのダメ文章には、たった223字の中に「子育て」が2回、「取材」と「思う」がそれぞれ3回出てきました。
省略するか、「案件」「仕事」「小さな子どもがいる」「育児」などの別の言い回しを使ってみましょう。
これらの5つの工夫を取り入れ、先ほどの文章をリニューアルしてみます。
今日、編集者から電話がかかってきました。25日に取材に行ってほしいという依頼でしたが、その日は子どもの三歳児健診の日でした。
とても面白そうな取材だったので行きたかったのですが、残念ながらお断りすることにしました。
でも25日の朝、子どもが熱を出しました。
もし取材を受けていたら、病児保育室やベビーシッターの手配で大変だったと思います。
子育てと仕事を両立するのは大変だと改めて思いました。
でも子育て中でも好きな仕事をすることは、人生を充実させるのにとても大切なことだと思いました。
今日、編集者から電話がかかってきました。25日に取材に行ってほしいという依頼でしたが、その日は子どもの三歳児健診……。
とても面白そうだったのですが、残念ながらお断りすることに。
でも25日の朝、子どもが熱を出したんです! も
しこの案件を受けていたら、病児保育室やベビーシッターの手配で大変だったでしょう。
子育てと仕事を両立するのは大変だと改めて思いました。
でも、小さな子どもを抱えながらも好きな仕事をする。これは、人生を充実させるためにとても大切なことです。
「短文をベースに長文も織り交ぜる」「語尾に変化をつける」の2つだけでも、文章にリズム感がでて読みやすくなります。
コツ5.見出しをつける
特にウェブ文章は、ザッと流し読みされます。
ズラズラズラッと文章が並んでいたら、読む気が失せますよね。
まずは見出しを見て、読む価値がありそうならじっくり読む、ということを無意識のうちにやっていると思います。
見出しを読むだけで、文章の大意がつかめるようにしておきましょう。
なお、見出しをつけることでグーグルから「整理された情報」とみなされ、SEO的な効果もあります。
しかし、見出しを大文字にする、下線を引く、などだけでは整理されているとは判断されません。
かならず見出しタグを使うようにしましょう。
コツ6.表記を統一する
ちょっとした表記を意識するだけで、洗練された雰囲気になります。
送り仮名を統一する
たとえば「問い合わせ」と「問合せ」。「申し込み」と「申込」。
こうした表記が混在していると、手づくり感が出てしまいます。
自分なりの基準を決めておくことをおすすめします。
「漢字orひらがな」を決めておく
漢字を使いすぎると読みにくくなると言われています。
予め伝えておいた事
あらかじめ伝えておいたこと
お勧めの商品が欲しい
おすすめの商品がほしい
全く連絡を寄越さない
まったく連絡をよこさない
有り難う御座います
ありがとうございます
彼等が上手く出来るようになる為に、5分毎に声を掛けた
彼らがうまくできるようになるために、5分ごとに声をかけた
いかがでしょう?
論文ならともかく、気軽に読んでほしいウェブ文章であれば、漢字は使いすぎないほうが読みやすいです。
字は「打つ」時代なので、あまり使わない漢字もバンバン変換されて、ついそのままエンターキーを押してしまうことがあると思います。
ひらがなにするか漢字にするか、自分なりの基準を持つことをおすすめします。
コツ7.略語は適切に使用する
△スマホ
○スマートフォン
△携帯
○携帯電話
普段の会話では問題ありませんが、ビジネス向きではありません。
特に、説明文や注意事項などの場合は必ず正式名称を使いましょう。
「携帯からお申し込み」などと書かれていると、いい加減な印象を与えてしまうかもしれません。
ただし、キャッチコピーなど語呂の良さが重視される場合は、略語のほうがふさわしいケースもあります。
たとえば、「インターネットでラクラク登録!」よりも「ネットでラクラク登録!」のほうが、歯切れが良く印象に残りやすいですよね。
あとは、「リモートコントローラー」「パーソナルコンピューター」「ワードプロセッサー」など、正式名称を書くと逆にわかりにくい言葉もあるので、むしろこういうときは略語を使うべきです。
略語そのものが悪いわけではありません。
状況とお客様に与える印象を考え、使い分けることが大切です。
コツ8.印刷して最終チェックをする
紙に印刷すると、結構な確率でアラが見つかります。
同じようなことを何度も書いていたり、まどろこっこしい表現をしていたり。
ウェブと比べた紙の利点は、全体像をザッと見渡せること。
無駄がないか、足りないところはないかをチェックするには、印刷して確認するのがベストです。
ちょっとした工夫で、ウェブ文章は読みやすくなります。
ひとつでもいいので、ぜひ取り入れてみてください。