歯科医院はコンビニエンスストアより多い。
これはもう、何度も聞いていると思います。

医院側から見れば「競争が激化している」と言えますが、患者さんの目にはどう移っているでしょうか。

答えは、「選択肢が多すぎて決められない」です。

「○○市 歯医者」「××駅 歯科医院」などで検索して複数のホームページを開けば、どこも似たようなデザイン、同じようなキャッチコピー。
「どこでもいい」「どうでもいい」という気持ちで適当に歯科医院を選んでいる患者さんも少なくないでしょう。

素人には、歯科治療の良し悪しが判断できません。
そんな中での貴重な判断ポイントのひとつが、院長・理事長の挨拶文です。
一般企業でも医療機関でも、トップの考えが組織の方向性や雰囲気を左右しますから、患者さんも「こんな人が院長なら信用できそうだ」と思った医院を選びます。

私個人も「歯科医師ではなく小児歯科医師になりたかった」という挨拶文に惹かれて、その歯科医院に息子を連れて行ったことがありました。

重要だけれどあまり注目されていない、ホームページに載せる理事長・院長挨拶文の書き方、歯科関連の取材・執筆件数が100件を超えるコピーライターが解説します。

理事長・院長あいさつ文に必ず載せる項目2つ

「地域の皆さまのかかりつけ医として~」「お口の健康を守り~」など、ありきたりなあいさつ文では、「よし、この歯医者に行ってみよう」とは思ってもらえません。
貴院の代表として、貴院らしさをぜひ伝えることをおすすめします。

項目1.治療の強み・特長

たとえば、インプラントに強み、予防に注力、丁寧が説明、など、医院ならではの専門性や取り組みを伝えていきます。

取材をさせていただいたある歯科医院では、治療前のカウンセリングに時間をかけて患者さんとの信頼関係構築に努めていました。
そこで「口の前に心を開いてほしい」をコンセプトに、30分かけて患者さんの要望をじっくり聴くことを全面に出していくことにしました。

この医院には、「とりあえず、ちゃちゃっと治してくれればいい」と考えている患者さんは来ないでしょう。

強みや特長をしっかり伝えることで、医院の方針に共感し、長期的なつき合いが期待できる患者さんが集まりやすくなります。

項目2.歯科医師としての志

勤務医という選択肢もある中で開業したくらいですから、歯科医師として成し遂げたいことがあるはずです。

患者さんは、歯科医療に関しては素人。
歯科界では一目置かれる技術や経験も、「なんかすごそう」くらいの認識です。
そしてどの医院も、患者視点で見れば同じようなことをアピールしています。

でも理事長・院長の情熱は、他院と絶対にかぶらない唯一無二のものです。
これを伝えない手はありません。

以前取材をさせていただいた院長先生は、歯科治療で人生を前向きに変えられるとお考えでした。
たとえばある患者さんは口腔内がボロボロで人に会うのを避けていたのですが、治療後は友達と旅行に行くまで社交的になり、院長先生にお土産を買ってきてくれたそうです。

そこで「歯だけでなく心も治す歯科医師」というコンセプトで院長挨拶文を作成しました。

ぜひ、開業したときの目標や今目指していることなどを、患者さんへのメッセージとして伝えてみてください。

必要に応じて入れたい要素3つ

より、親しみやすさや人柄を出したいときにおすすめです。

要素1.歯科医師になったきっかけ

たとえば「もともとはロックバンドでメジャーデビューを目指していた」など、歯科医師からかけ離れた夢を持っていた過去があれば、歯科医師に方向転換した理由を少し載せるだけで個性的で読みたくなる挨拶文になります。

いちばん多いパターンは、ご実家の歯科医院を継ぐためや親の影響で自然とそう思ったというケースではないでしょうか。
もし「患者さんに慕われている歯科医師の父を、子どもながらにかっこいいと憧れていた。自分も父のようになりたくて同じ道を進むことを決めた」などのエピソードがあれば、入れる価値があります。
単に「家業を継ぐため」よりも誠実な人柄が伝わるはずです。

要素2.苦労したエピソードとそれを克服した方法

どん底からの復活劇は、共感されやすいストーリーです。
たとえば「開業当初は全然患者さんが来なかった。でも○○をしたら徐々に患者さんが増え、ありがたいことに今では予約が取りにくくはるほど。今でも○○を大切にしている」などです。

ある先生の挨拶文を作成したときは、「根管治療を手探りや勘で行うのに疑問とストレスを感じていたけれど、マイクロスコープを導入して治療の精度が上がって患者さんからも信頼されるようになり、より歯科治療にやりがいを感じるようになった」という内容を盛り込みました。

要素3.プライベートや趣味

これを載せる目的は3つあります。
「親しみ」「ギャップ」「信頼感アップ」です。

親しみ

自分と共通点があると、人は親しみを覚えます。
私はプロフィールページに出身大学や好きな漫画を紹介しているのですが、同じ漫画が好きだからという理由で親近感がわいて問い合わせてくれたり、同じ大学の出身者から長期の仕事を受注したりと、意外なご縁がたくさんありました。

挨拶文の最後に「趣味はランニング」などと書くだけで、ランニング好きな患者さんが来てくれる可能性があります。

読み手は、書き手が想像もしなかったところに反応することが少なくありません。
ひとことふたことでもいいので、趣味情報を書いてみてはいかがでしょうか。

ギャップ

「ギャップ萌え」という言葉があるくらい、人は普段と違う姿に心を動かされるものです。
たとえば厳しそうな先生の趣味が愛猫と遊ぶことだったら、そのシーンを想像してほっこりしてしまいますし、「意外と優しいのかな」という印象を持つかもしれません。

信頼感アップ

たとえば子育て中や子育て経験があることは、小児歯科ではとてもプラスになります。
もし経験がない人と比べられたとき、選ばれる確率は高いでしょう。
仕事内容とリンクする趣味やプライベートの情報があれば、積極的に載せることをおすすめします。

ホームページの理事長・院長挨拶文の例文

架空の医院を想定して、理事長・院長挨拶文を書いてみました。
実在しないので具体性に欠けますが、イメージをつかんでいただければと思います。

挨拶文の例文

はじめまして。
××歯科医院の院長のAと申します。「予防を徹底し、虫歯ゼロを当たり前にする」を理念に掲げ、この○○市に開院しました。(歯科医師としての志)

私は東京都出身で、○○市には縁もゆかりもありません。
なぜここに開院したかというと、ズバリ、子どもが多いからです。虫歯の予防には、子どもの頃からのケアが非常に重要です。
幼少期から歯科医師と歯科衛生士が適切に介入すれば、一生虫歯ゼロも可能です。
子どもたちに虫歯のない人生をプレゼントしたくて、この地に開業しました。

ところが、「虫歯になるのは仕方がない」「虫歯になれば治療すればいい」という考えが一般的ではないでしょうか?

しかし、北欧などの歯科先進国では逆に、虫歯にならないのが当たり前。
なぜなら、子どもの頃から予防をするのが定着しているからです。

同じことを日本でも再現するために当院では北欧式の予防を取り入れ、子どもが一生虫歯で苦労しないお口をつくることを目指しています。(治療の強み・特長)

実はもともと、予防歯科にはまったく興味がなく、高度な最新の治療を追求していました。
ところが、気づいたのです。
「どんなに治療の技術が進歩しても、再発リスクをゼロにすることはできない」と。
治療から何年か経つと、再度痛みを訴えて来院する患者さんが、後を絶たなかったのです。

「自分のしていることは、本当に患者さんのためになるのだろうか」
こう葛藤する日々が続いていたとき、たまたまセミナーで知ったのが予防歯科だったのです。
すぐに「これだ!」と思ってのめりこみ、5年後に当院を開院しました。(苦労したエピソードとそれを克服した方法)

開院の直前に生まれた娘は、もちろん虫歯ゼロです。
先日は、「学校の歯科検診で、歯がキレイだってほめられた!」と喜んで帰ってきました。
(信頼につながるプライベート情報)

患者さんからも、娘と同じような報告を受けることは少なくありません。
そのたびに、歯科医師としてこの上ない喜びを感じます。

虫歯予防は幼少期から始めるのがベストですが、学校に通う年齢でも大人になってからでも大丈夫です。

ぜひ当院と一緒に「虫歯になるのは当たり前」という常識を壊し、「虫歯ゼロが当たり前!」を新しい常識にしていきましょう。

経歴
○年 ××歯科大学卒
○年 同大学に勤務
○年 当院を開院

趣味

  • 料理
  • ドライブ
  • カメラ

(親しみを感じさせるプライベート情報)

派手な宣伝に負けないために、医院の代表者としてメッセージを伝えませんか

歯科医院は飽和状態です。
「院長がイケメン」「歯科助手がメイドのコスプレ」など、差別化の暴走としか思えない広告やブランディングをしている医院も見たことがあります。

これを見て、真剣に治療や予防をしたい患者さんが来るでしょうか?
少なくとも私は、「ほかにアピールすることがないレベルの医院なんだろうな」と思います。

自費治療を希望する、定期検診や予防メンテナンスに通い続けてくれるなど、意識の高い患者さんに来てほしいなら、理事長や院長からメッセージを発信し、「あなたの要求を満たせる医院です」と伝えることが大切です。

しかも設備やスタッフ教育と違い、時間をかける必要はありません。
今、先生が持っているものを「見える化」するだけだからです。

もし忙しくて書く時間がなければ、プロのコピーライターが作成代行いたします。
歯科医師・歯科衛生士の求人広告や歯科医院向けのダイレクトメールなどの制作経験があり、歯科関連の取材・執筆件数は150件を超えます。
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