自分の会社の紹介文がうまく書けない。
社長に「ホームページの文章を書いておいて」と無茶ぶりされたけれど、途方に暮れている。

そんな方のための記事です。
読み終わる頃には、次の4点について理解できるようになります。

  1. 会社紹介文とはどんなものか
  2. 文章に必要な素材の集め方
  3. どんな体裁で書けばいいのか
  4. どんな文章を書けばいいのか

会社紹介文は、会社を紹介する文章ではない?

「会社紹介文」は読んで字のごとく、会社を紹介する文章です。
もちろん、これは間違っていません。

ただし、ホームページから新規顧客を獲得したい、問い合わせを増やしたいなどの目的であれば、もうひと工夫必要です。

その工夫とは、「お客様にどう役立つ会社か」を紹介すること。

では「どう役立つか」を、どう表現すればいいのでしょうか。
そのためには、以下のことをハッキリと言語化する必要があります。

誰に?
何を提供して?
どんな結果を出せるのか?

具体例を挙げてみます。

誰に?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

何を提供して?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

どんな結果を出せるのか?

業務を効率化し、人手不足や採用難のなかでも業績が上がるようにする

もし自分が中小企業の代表でIT化に関心があれば、単に「システム開発をしている会社です」だけよりスルーされにくいはずです。

会社紹介文を書くには、「誰に、何を提供して、どんな結果を出せるのか」の3点を最初に言葉にするのが非常に重要です。
ここがあいまいなまま書き始めても、行き詰まる可能性大!

社長の頭の中には明確な方向性があり、それに沿って仕事をしていると思います。
でもそれをいざ言葉にしようとすると、なかなかむずかしいもの。

会社紹介文を書くこのタイミングで「誰に、何を提供して、どんな結果を出せるのか」をいま一度、考えてみることをおすすめします。

文章は、材料集めで8割決まる

「誰に? 何を提供して? どんな結果を出せるのか?」が言葉にできたら、次は文章の素材集めです。

文章は料理と同じで、材料がなければ何もつくれません。
超一流のシェフでも、鶏肉がなければチキンカレーはつくれないのと同じです。

私はコピーライターとしてお客様に代わって文章を作成していますが、材料集めに8割のリソースを割きます。
残りの1割で構成を、最後の1割で実際に文章をつくるイメージです。

素材集めが最重要!
  1. 情報収集 80 %
  2. 構成 10 %
  3. 文章作成 10 %

では、実際に材料を集める方法をお伝えしていきます。

素材の集め方①自分が思う自社の強みや良さを書き出す

いちばんシンプルな方法です。
自信を持っているところや他社に負けないと思っているポイントなどを書き出していきます。

素材の集め方②外部の意見を聞く

お客様に「なぜ他社ではなく当社を選んだのか」「なぜ当社の利用を続けてくれているのか」を聞いてみます。
お客様と接している社員に聞くのも効果的です。

自分がイメージしていることとまったく違うことを言われ、意外な気づきがあるかもしれません。

私にも経験があります。
取引のある制作会社にこの質問をしてみたところ、答えは「取材や文章に安定感があるから」でした。
ここはある特殊な分野に特化した制作会社で、私はその分野で働いていたことがあります。
経験や知識が評価されているのかと思っていたのに、実際はほとんど関係がありませんでした。

このくらい、主観と客観の評価が異なる場合があります。
会社紹介文を書くこの機会に、ぜひお客様の声を聞いてみてください。

素材の集め方③競合サイトを調査する

競合のサイトをいくつか比較し、「他社にできず自社にできること」を浮き彫りにしていきます。
ただ眺めていても違いがわからないので、エクセルなどの一覧表にまとめるのがおすすめです。

比較する項目は企業によってまちまちですが、一例を紹介します。

ネットでは必ず比較されます。
お客様の気持ちで競合と自社のサイトを見比べてみると、意外な強みが見つかったり、逆に強みだと思っていたところが他社とほとんど変わらないと気づいたりします。

もし、「素材の集め方①自分が思う自社の強みや良さを書き出す」で思い浮かぶことが少なかった場合、競合サイトの比較からスタートして自社の強みを見つける方法もあります。

会社紹介文にふさわしい体裁は?

素材がひと通りそろったら文章作成に入ります。
ここで意外と困るのが、「どんな体裁で書いたらいいか」ではないでしょうか。

結論から言うと、会社紹介文には決まった体裁がありません。

状況によりけり、というのが答えです。

とはいえそれではあまりに無責任なので、書きやすいフォーマットを紹介します。
私がお客様の会社紹介文を書くときも、これをベースにしています。

  • キャッチコピー
  • 100~200字程度で事業内容やビジョンを紹介
  • 「選ばれる理由」「当社の強み」「お客様へのお約束などのタイトル+見出しと100~200字程度の説明文を3~6個程度

※クリックで全体が見られます

このフォーマットの利点は2つあります

  1. 過不足なくシンプルに情報をまとめられる
  2. スマートフォンでも見やすい

普通の記事のように文章を書き連ねてしまうと、不必要なことまでつい載せてしまいがちです。
その結果、本当に必要な情報が埋もれてしまう。

一方、見出しをつけて1ブロックにつき1情報にすれば、伝えたいことがスルーされにくくなります。

こうした体裁は、流し読みをされるスマートフォンにも適しています。

文章は、実績と情熱のハイブリッドで

ここまで準備をして、いよいよ文章作成に入ります。
ここでぜひ取り入れてほしいのが、実績をベースに情熱を織り交ぜることです。

ビジネスの文章は、実績を淡々と伝えるという印象があるかもしれません。
報告書や資料などでは確かにそうです。

でも集客やブランディングが目的の会社紹介文であれば、情熱を織り交ぜたほうが共感を得られます。
とはいえ、個人的な情熱はNG。

たとえば「ひと山当てて、海外リゾート地に別荘を持つことを目標に日々精進しています」「自分は母子家庭で苦労したので、自分の子どもにはそんな思いをさせないために仕事に励んでいます」など。

ここでの情熱とは、「なぜこの仕事をしているのか」「どんな社会をつくりたいのか」を指します。

絵空事を語るのではなく、「私たちは○○な社会を実現するために、実際にこんな取り組みをしています」のように、それを実行するために何をしているかまで書くようにします。

キャッチコピーのつくり方

キャッチコピーのつくり方については、書籍やサイトが山ほどあります。
詳細な解説はそちらに譲り、ここでは会社紹介文で使いやすいキャッチコピーのつくり方を2つ紹介します。

キャッチコピーづくりで役立つのが、最初に決めた「誰に? 何を提供して? どんな結果を出せるのか?」です。
ここの一部、もしくは全部を短いフレーズにすれば、キャッチコピーがつくれることが多いです。

つくり方①どんな変化を起こせるかを宣言

つぎのテンプレートに当てはめると、キャッチコピーがつくりやすいです。

  • AをBにする
  • ○○をつくる

先ほど挙げた具体例の赤字部分、「どんな結果を出せるのか」を抜き出したものです。

誰に?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

何を提供して?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

業務を効率化し、人手不足や採用難のなかでも業績が上がるようにする

ゆうちょ銀行のキャッチコピー「あたらしいふつうをつくる」は、まさにこのパターン。
シンプルですが、使い勝手のよいテンプレートです。

また、一般論の否定を文頭にもってくることで、「何をつくるのか」を際立たせることができます。

誰に?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

何を提供して?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

どんな結果を出せるのか?

業務を効率化し、人手不足や採用難のなかでも業績が上がるようにする

たとえば下線を引いた「業績が上がるようにする」を「○○をつくる」の型で言い換えると、「利益を増やす」などと表現できます。

さらにその前の「人手不足や採用難のなかでも」で一般論の否定をすると、「人手不足や採用難のなかでも利益を増やす」となります。

これを短くキャッチ―にして「人手を増やさず利益を増やす」とすれば、キャッチコピーが完成。一般的に業績を上げるには人手が必要と考えられていますが、常識の否定を文頭に置くことで「なぜそんなことができる?」と読み手の興味を引くことができます。

いきなりキャッチコピーをつくろうとせず、まずは普通の文章で書いてみて、そこから余計な言葉をそぎ落としていくのがポイントです。

私がかつて提案したお弁当宅配サービスのキャッチコピーに「私たちが届けたいのはお弁当だけではありません。健康をつくることです」があります。

食材選びや調理に並々ならぬこだわりと情熱があり、食から健康を支えたい気持ちがあふれんばかりの企業でした。


単なる配食サービスと思われないよう、最初に「お弁当を届けているだけではない」とあえて加えることで、後半の「健康をつくる」を目立たせています。

つくり方②理由を言う

さきほどのパートで、会社紹介文では情熱も伝えるのが大切だとお伝えしました。
ここでの情熱とは、「なぜこの仕事をしているのか」「どんな社会をつくりたいのか」という、仕事をする理由です。

これもキャッチコピーに使える要素です。

私がかつて作成ある歯科技工所のキャッチコピーに「歯科医療の未来のために、歯科技工士のイメージを大幅に変える必要がある」があります。

「歯科技工士のイメージを大幅に変える必要がある」だけだと、一企業の考えにすぎないイメージですが、「歯科医療の未来のため」を加えて、業界全体を見据えていることを表現しました。

情熱とは「どんな社会をつくりたいのか」ですが、これもまさにそうです。

キャッチコピーのつくり方を2つ紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。


キャッチコピーはゼロからカッコイイ言葉を創り出すようなイメージが持たれがちですが、実は準備していた素材の中から抜き出してちょっと手を加えれば基本的にOKです。

短い紹介文の書き方

次は、この部分の文章の書き方を解説します。


ここも「誰に? 何を提供して? どんな結果を出せるか?」を整理して書けばほぼ埋まります。
さらに社会背景、社会の課題、一般論の否定の要素を絡めると、厚みが増します。

しつこいですが、先ほどの架空のIT企業の例をもとに例文をつくってみます。

誰に?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

何を提供して?

IT化を進めたいけれどコスト面で躊躇している中小企業に

どんな結果を出せるのか?

業務を効率化し、人手不足や採用難のなかでも業績が上がるようにする

例文

人手不足や採用難が続く中、IT化による業務効率化が成長のカギを握ります。
ところがIT化のコストは高く、中小企業にとっては大きな負担です。
その理由のひとつは、業界の多重下請け構造。
いくつもの業者がからむことで最終価格が跳ね上がり、大企業しか手が出ないという問題があります。
そこで当社は、中小企業と直接取引をするシステム開発会社として創業しました。
中間コストがかからないだけでなく、直に話すからこそ貴社に合わせて直感的に操作できるシステム開発が可能です。

多重下請け構造という社会の課題を絡めたうえで、「その課題を解決するための企業である」ことを伝えています。

箇条書きパートの書き方

最後は箇条書きのパートです。

まずは「選ばれる理由」「当社の強み」「お客様へのお約束」など、何について詳しく伝えるかを決めます。

事前に集めた素材の中から、以下の項目について取り上げると書きやすいです。

  • 実績
  • 設備
  • 仕事の哲学

ここでのポイントは、「それをやる(それがある)ことで、お客様にどんないいことがあるのか」を補足すること。
私が実際に作成したものを例に解説していきます。

建設関連の企業の事例です。

県内最大級の展示場

展示場では、200枚以上のサンプルをご覧いただけます。
カタログではわからない色や質感を確認でき「実物を見られてよかった」と好評です。
イメージが湧かないときや選び方がわからないときは、お気軽にご相談ください。ご要望をうかがい、最適な提案をいたします。

「県内最大級の展示場があり、200種類以上のサンプルがある」は優れた設備で、会社のアピールポイントになります。
これだけでも悪くはないです。

でももう一歩踏み込み、「では、お客様にどんないいことがあるのか?」とリアリングした結果、「カタログではわからない色や質感がわかり、イメージ通りの仕上がりになる」でした。

さらに相談できて提案してもらえることを載せて、単なるサンプル置き場でないことをさりげなくアピールしています。

ここのパートは、気を抜くとスペックの羅列になりがちです。
冒頭でお伝えしたとおり、会社紹介文の基本は「お客様にどう役立つ会社か」を紹介する文章です。
「当社と取引をすることで、お客様に良い変化が起きます」ということを伝えるようにします。

まとめ・制作事例

長文におつき合いいただきありがとうございます。
会社紹介文を書くイメージがなんとなくつかめましたでしょうか。

ひとことでまとめれば、「自社の強みをお客様目線で書く」のが会社紹介文と言えます。

ここで紹介した方法は、基本中の基本です。
実際にコピーライターが作成する場合はもっと深掘りして情報を集め、お客様に合わせて載せる内容を取捨選択していきます。

「こんなに書きたくない」と思ったら、私に2時間ください

のべ3万人以上のお客様対応を経験してきた元カスタマーサービス業のコピーライターが、顧客視点で御社の強みやアピールポイントを文章化します。
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