私は採用コンテンツの取材のとき、最初に「どんな人に来てほしいですか?」とよく聞きます。

取材先の業種・職種は多岐に渡るのですが、面白いことに返って来る答えはほぼ同じです。

「コミュニケーション力が高い人」
「素直な人」
「真面目な人」

多少の言い回しの差はありますが、8割くらいはこの3つに集約される印象です。
でも、この言葉を求める人物像にそのまま書いてはいけません。

なぜなら、人によって解釈が異なり、ミスマッチにつながる可能性があるからです。

「コミュニケーション力が高い人」はなぜダメ?

「コミュニケーション力が高い人」を例に挙げてみていきましょう。

この言葉を聞いて、どんな人を思い浮かべるかは人それぞれです。

採用担当者は、「顧客と長期的な信頼関係を築ける人」に来てほしいと思っているのに、求職者は「誰とでも打ち解けられる人」と解釈するかもしれません。

この時点ですれ違いが起きています。

書類選考の段階で、企業は「ウチに合わない」と不採用通知を出し、求職者は「よくわからないけど落とされた」と不満を抱き、お互いに不毛な時間になってしまいます。

選考で違和感に気づいて不採用にできればまだ良い方です。

入社後に「思っていたのと違った」と短期間で離職となった場合、あらゆるコストが無駄になってしまいます。

こんなロスを防ぐためにも、求人票に掲載する「求める人物像」の解像度を上げていく必要があります。

求める人物像を言語化するには?

その方法は、「こんな人に来てほしい」と思う社員の行動や言動を把握すること。もっと詳しく言えば、「この人は〇〇(※)だな」と思うのはどんなときかを振り返ることです。

〇〇の中に、ぼんやりとした求める人物像を入れる。たとえばコミュニケーション力が高い、素直、真面目、など

ある企業を取材したときも、最初の求める人物像は、真面目、素直、などとぼんやりしていました。

でも活躍中の社員の行動や言動を振り返ってもらい掘り下げていったところ、「黙々と仕事をする職人気質の人」という人物像が見えてきました。

この言葉のほうが、求職者側も「これは自分のことだ」と感じやすく、応募する意欲が高まるはずです。

また、求める人物像を言語化しておくことは、採否を決めるときにも役立ちます。
「素直で真面目な人」と人物像がぼんやりしていると、採用担当者によって理解にバラつきが出て、良い人を逃したり合わない人を採用してしまったりする可能性も出てきます。

応募者が減ることを恐れない

「素直で真面目な人」と「黙々と仕事をする職人気質の人」を比較すると、後者のほうが当てはまる人が少ないです。
だからつい、こう思いがちです。「求める人物像を限定したら、応募してくる人が減ってしまう」と。
確かにそうです。

もし現状、応募が殺到していてその中から理想の人材を選べるならそれでもいいかもしれません。でもこの記事を読んでいる時点で、おそらく応募が少ないと悩んでいるのではないでしょうか。

売り手市場で求職者に選択肢がたくさんある中では、メッセージがぼんやりした求人広告はスルーされてしまいます。

たとえばご自身が30代の男性で、大型ショッピングモールに服を買いに行くと想像してみてください。

服を売っている店舗は何軒もあり、消費者は選びたい放題です。そんな状況で店員に「30代男性にぴったりの服です」と話しかけられても、あまり欲しいとは思わないのではないでしょうか。

一方、「ストレッチがきいていて動きやすいけれど、襟付きでキッチリした印象です。 顔映りが良い色なので、オンライン会議の印象もいいですよ」と話しかけられたと想像してみてください。

もし屋外作業の仕事をしているのならスルーするでしょうが、在宅勤務でオンライン会議が多い仕事であれば、「これは自分に必要な服だ」と一気に興味を持つのではないでしょうか。

求人広告も同じで、広く浅く多くの人に興味を持ってもらおうとすると失敗します。「刺さる人に刺さればいい」と、ある意味割り切ることが大切です。

もちろん、多数の応募者の中から優秀な人をじっくり選べるのが理想ですが、この採用難・人手不足の時代、そんなことができるのは大手企業や有名企業だけです。

特に今、求人を出しても応募がないのなら、思い切って求める人物像の解像度を上げて間口を狭めてみませんか。仮に応募が来なくても、現状と変わらないのだからリスクはありません。一度試してみる価値はあると思います。

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