プロのライターと文章が上手い人の違いは、執筆前後のスキルの有無。
具体的には、企画力や取材力など。
色々なブログを読んでいると、たまにものすごく上手な文章に出くわします。
けっこう焦りますね。
「このブロガー、私が上司から何度も指摘されてやっと身につけたことが自然とできているぞ……」って。
考えてみれば、文章を書くなんてクオリティや長さを問わなければラインやメールで誰もがやっていること。
それを万単位のお金をもらって書くのだから、ただ単に上手なだけではプロとは言えません。
プロとアマの決定的な違いは、文章力以外のスキルがあるかどうかで決まります。
文章力は走るスキル。企画力・取材力は泳ぐスキル
文章力は走ることに似ています。
早い、遅い、の差はあれ、誰でも走れます。
だから突然「今日の出来事を日記に書いて」と言われても、「朝起きて会社に行きました。今日も上司に怒られてムカつきました」くらいは誰でも書けるわけです。
ちなみに私が生まれて初めて書いた絵日記は「あおいそら しろいくも いしやきいも」。
あふれんばかりの文章センスの片鱗が見えます。
一方、企画力や取材力は、たとえるなら泳ぐスキル。
子どもは教えられなくても勝手に走り出しますが、いきなりプールに突き落としたら溺れます。
だからいきなり「あの人を取材して来て」とか「雑誌のページの企画出して」と言われても、対応できる人はごく少数です。
こうした「書く」以外のスキルが、ライターの質を左右する。
そう考え、最近は取材力向上のためにコンサルタント向けの書籍を読み、実践しています。
”取材先を探すための取材”もある
普通の取材記事の場合、執筆が6割、それ以外の作業が4割というのが多いです(あくまで私のケース)。
書く以外に何をしているかというと、効率よく取材するために情報収集をしたり、取材当日の質問を考えたり、できた原稿をインタビュイー(取材を受けた人)や編集者に確認してもらったり。
でも中には、執筆が1割以下、その他が9割以上という案件も。
それがこの、はまれぽ.com。
読者から寄せられた質問に対してライターが調査をして回答するというスタイルのサイトです。
話題のお店の取材などはすぐ終わるのですが、問題なのは「ナニコレ珍百景」的なものの調査。
「なぜこんなところにこんなものが?」とか、「昔はここに○○があったのは本当?」などをゼロから調べるわけです。
このテの案件は、そもそも誰に取材をしていいのかがわかりません。
とりあえず現地に行き、通行人にインタビューなんてこともします。
たとえば、最近担当したこの案件。
ネット上のわずかな情報を頼りに10人以上に電話、メール、対面で取材をし、図書館や地域のイベントなど3ヶ所を訪問して情報収集をしました。
記事を読んでいただけるとわかりますが、英語メールで海外取材までしています。
横浜市の巨大迷路という超ローカルな話題にも関わらず、です。
まさかの展開でした。
調査に半年以上かかったのに、原稿制作はわずか数時間で終了。
ライター(writer=書く人)の仕事なのだろうか? と疑問に思うレベルの案件でした(すごく楽しかったけど)。
ライターは、文章が書けるのが当たり前。
その前後の工程ができるかどうかがキモだということを思い知った仕事でした。