飛び込み営業の顧客視点の欠如っぷりがハンパなかったので理由と改善策を考えてみた


昨日の夕方、塾の飛び込み営業が来た。
その手法が顧客視点のカケラもなかったため、自戒も込めてダメな理由を記録にとどめておく。

ダメポイント1 何者かを名乗らない

インターフォンが鳴ったのでモニターを見ると、明らかに配達業者とは違う雰囲気の女性。
「はーい」と返答すると、「(聞き取れないけれど何かを言って)ごあいさつに来ました」と。

経験的に、「ごあいさつ」は100%セールスなのをわかっている。
そこで「ご用件は?」と聞くと、「Aという学習塾で~。でも宣伝ではないので~」と話し始める。

宣伝以外の何物でもないだろ。

しかも、聞かれないと名前も用件も言わないのはいかがなものか。
顧客視点とか営業云々の前に、見知らぬ人の時間を使うというのに自己開示をしないとは何事か。

個人が判別できない人影

この時点で、私はこの塾からは買わないと決める。
しかし、若い女性ががんばっているのでおばちゃんは情にほだされ話だけでも聞くことにした。

ダメポイント2 相手に伝わらない言葉を使う

ドアを開けると、若い女性が一生懸命話し始めた。

「こんにちは! 私たちはあそこのd%;w@x:3aの上にあります、学習塾Aと申しまして……」

d%;w@x:3a?

なんだか聞いたことあるような気がする、カタカナ5文字くらいの言葉を放った。

お姉さんは一生懸命しゃべっているものの、私はd%;w@x:3aがなんだか気になって仕方がない。

d%;w@x:3a
d%;w@x:3a
d%;w@x:3a
d%;w@x:3a



あっ!
やっと思い出した!
道路沿いにあるケーキ屋だ!
確かに、あの2階に学習塾の看板があったな。
あースッキリした。
(ちなみにこの間もお姉さんは話しているが、私はd%;w@x:3aことで頭がいっぱい)

ショーケースの中のケーキ

d%;w@x:3aは、個人経営の小さなケーキ屋さん。
そこで何度か買ったことがある私でさえ、名前が瞬時に出てこなかった。

シャトレーゼやコージーコーナーなどの全国展開しているところならともかく、そんな小さなケーキ屋の名前を把握している人が何人いるのだろうか?

甘いものを食べない夫なんて、徒歩数分のところにあるケーキ屋d%;w@x:3aの存在を把握していない。
もう1年も住んでいるというのに。

その程度の知名度の店をランドマークとして挙げる時点で、顧客の立場で考えていないことがよくわかる。
d%;w@x:3aの2階で仕事をしている自分たちの都合で話していて、d%;w@x:3aが顧客にどれほど浸透しているかまで頭が回らないのだ。

私だったら、「あの大通りのローソンの向かいにある学習塾」と説明するだろう。

ダメポイント3 初対面の人に応援を強いる

d%;w@x:3aについて思い出そうとしているうちに、いつしか説明が終わっていた。
そして、次はこう話し始めた。

「私たち、コロナに負けないようにがんばっているんです! そのためにお父さん、お母さんたちの意見を知りたいので、アンケートに協力してもらえませんか?」

ちょ、待てよ(キムタク風)。

この一言で、私の心のシャッターは完全に下ろされた。
閉店ガラガラ。

なぜ、なぜ、数分前に会ったばかりのあなたを応援する義理が私にあるのだ?
応援をしている男女

がんばっているのは結構。

でも、私がそれに関与しなければならない理由は1ミリもない。
名前も用件も隠して近づこうとする無礼な営業パーソンに貴重な時間を割くメリットがまったくわからなかった。

あまりに自分たちの都合しか考えないやり方にうんざりして、「夕飯の準備をしているので」と言い残してバタンと玄関を閉めて強制終了。

わずか数分間の出来事だが、どっと疲れてしまった。

どうすればよかったのか?

これだけだと、単なる批判で終わってしまうので、顧客視点の鬼を自称するコピーライターとして、改善策を提案したい。

改善策1 飛び込み営業をやめる

売り込まれるのが好きな人なんていない。
その最大の理由が、「断るストレスを相手に与えるから」だ。

今回だって、「インターフォン越しに追い返すのもなんだか悪いな」「話を途中で遮ってドア閉めるのも気が引けるな」と私なりに考えて気をつかっていた。
飛び込み営業さえ来なければ、こんな余計なことに気をもまずに済んだのだ。

とにかく、飛び込み営業している時点で印象を悪くしていることに気づいたほうがいい。

改善策2 購買意欲をそそるチラシにつくりかえる

突然、向こうの都合で売り込まれる営業は嫌われる。
だから最初は、顧客が好きなタイミングで情報にアクセスできる仕組みにする必要がある。

そのために有効なのがチラシなどの紙の広告だ。
地域密着で商圏が限られているビジネスでは、紙の広告効果はあなどれない。

さらに塾の場合、私のような教育熱心ではない親はわざわざネット検索なんかしないから、目の前に物理的にある紙の広告でもない限り、存在すら知ることがない。

紙で何度か目にすれば「あのあたりに学習塾がある」と記憶され、何かの拍子に思い出して入塾させることがあるかもしれない。
すぐに効果がなくても、繰り返し広告を出すことは重要だ。

今回受け取った学習塾Aのチラシは、広告というより営業資料。
営業パーソンが説明することを前提につくられている印象を受けた。

これを、親が読んだだけで塾の価値がわかる内容に変更してポスティングしたほうがいい。
少なくとも、飛び込み営業による悪印象はないのだから。

改善策3 見込み客に情報を確実に届ける

学習塾によっては、小学校の下校路で待ち構えて児童たちにチラシを配っている。
最初にこれを見たとき、「なんて効率が良い営業なんだ! ほぼ100%見込み客じゃないか」と感動すら覚えた。

広告をどんなに作り込んでも、見込み客に届かなければ意味がない。
一流のコピーライターと凄腕のデザイナーがつくった学習塾のチラシを、高齢者専用住宅に投函したらどうなるかを想像してみてほしい。
広告の効果はまったく出ないだろう。

私の知っている鍼灸師さんは、パンフレットを薬局に置かせてもらい、そこから新規集客をしている。
確かに鍼灸治療を受けたい人は体に不調を感じている人だから、薬局には見込み客が来る可能性が高い。
すばらしい戦術だ。

やみくもに飛び込み営業をしたり広告を配りまくるのではなく、どこに見込み客がいるのかを考えて効率よく行動することが重要だ。

「顧客視点」なんて書くとむずかしそうに見えるが、要は「相手が嫌がることはしない。相手が喜ぶことをする」という、非常にシンプルなもの。
ちょっと想像力を働かせれば実現できる。

営業トークを炸裂させる前に、目の前の人が嫌がるか喜ぶか、一呼吸おいて考えてみてほしい。