子どもを過労死させないために、“逃げる力”をつけさせたい

電通の女性社員が過労の末自殺するという痛ましい事件がありました。
人を人とも思わないブラック企業をどうすれば撲滅できるかを考えているところです。

でも、いつの時代も犯罪がゼロにならないように、犯罪企業の根絶は現実的ではないでしょう。だから息子には、万が一ブラック企業を掴まされても「逃げる」選択肢があることを教えてきたいと思います。

「継続は浪費なり」「置かれた場所から逃げなさい」

私たちはずっと、継続することがエライ、立ち向かうことがスゴイ、耐えるのがスバラシイと教えられてきました。
「継続は力なり」「石の上にも三年」はもてはやされるのに、「三十六計逃げるに如かず」「逃げるが勝ち」は滅多に聞きません。

確かに、継続することでしか得られないこともあります。先日取材した入社7年目の女性も、こう話していました。
「入社前に、父から5年は絶対に続けろと言われていました。つらいこともあったけど、その通りにしてよかったと思います」

イキイキと仕事について話す彼女の様子を見て、この言葉に嘘はないと思いました。
でももし、この企業がブラックだったり、仕事がまったく合わなくてストレスを感じていたらどうでしょうか?
続けることにこだわりすぎて、心身を病んでいた可能性もあります。

「継続は力なり」は、効果がある“場合もある”程度に理解しておけばOK。
盲目的に続けることは、幸せにつながりません。
むしろ変化のスピードが速く終身雇用が崩壊している現在「逃げる力」、ポジティブに言えば「とっとと見切りをつけて次に進む力」が必要なのではないでしょうか。

それに、継続しても昔ほど報われません。
年功序列、終身雇用の時代は、石にかじりついてでも会社に残ればそれなりの収入やポジションが約束されていました。
でも今は、がんばって続けた仕事がリストラや倒産で一瞬で吹っ飛ぶことだってあります。私の職歴は、まさに会社から逃げ、会社から逃げられの繰り返し。ちょっと紹介しますね。

適度に逃げたからこそ、今の自分がある

新卒で消費者金融大手のアイフルに入社。
電話営業に耐えられず、半年後に退職を申し出(逃げ)。
しかし上司から「他部署でやってみないか」と言われてコールセンターへ異動し、5年間も勤務。新卒1年目で過半数が辞める中、逃げようとしたことで結果的に続けられたという経験をしました。
その後、業務停止命令を食らってやる気が地の底まで落ち、結婚を口実に退社(逃げ)。
でも数年後、私がいた部署はなくなり、同僚は全員リストラとなりました。遅かれ早かれ、辞めなければならなかったようです。

次に貿易事務の仕事に就きましたが、まったく向かない細かい事務作業に根を上げ、2年弱で退職(逃げ)。

次のヘルプデスク、外資銀行のカスターサービスは、ともに会社の移転や日本撤退でリストラ(逃げられた)。
でもおかげで、「本当にやりたいことは何か」を考えるきっかけになり、ライターを目指すことができました。

正社員ライターに転職。仕事が楽しく、大変でも続けてきました。でも子育てとの両立が難しくなり退職(逃げ)。
でもフリーとなってあらゆるジャンルの仕事ができ、子育ても楽しめるようになったので、結果オーライです。

当時は、継続できなかったことや逃げたことを責めていましたが、振り返ってみるとなんてことはない。すべて必要な、最良の選択だったと思います。

人間には、本能的に逃げる力があるはず

過労死で父親を失った息子(当時小学校1年生)が、こんなことを言っていたそうです。
「将来は科学者になってタイムマシンを発明したい。お父さんが死ぬ前日に戻って、会社に行ったらダメって言うんだ」

会社に行かなければ(逃げれば)死ななくて済む。
子どもには先入観がないから、シンプルにそう考えられるのではないでしょう。

自然界では、逃げるのは生き延びる手段のひとつ。捕食されそうになったら、全力で逃げるのは当たり前です。
でも、人間はいつのまにか「逃げる」より「挑む」を好むようになりました。
飢えたライオンに遭遇したシマウマに「戦え」と強要しているようなものです。

何かがおかしいですよね。
息子には、チャレンジや継続と同時に「逃げてもいい」ことを意識して教えたいと思います。

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