保育園建設反対・断念が続発する超シンプルな理由

「なぜ保育園が必要か」が伝わっていないから。
こんなことを思ったのは、有識者と言われる人たちが次のように発言しているのを立て続けに目にしたからです。

「地方に引っ越せばいい。保育園はいくらでも空いている」
「無理して4月に開園する必要はない」

今まで、こうした意見はネット上の罵詈雑言かと思っていました。
でも、有識者や知識人が言っているとなると、話は別。
「保育園つくれ!」と声を上げる前に、なぜ保育園が必要なのかを、ド基礎のドから伝えなければなりません。

“保育園に入れること”が最終目的ではない!

「都会の保育園に入れなければ、田舎に引っ越せばいいじゃない」

これは、「パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃない」レベルの、問題の根本がわかっていない発言。

ママ(※)の最終目的は、保育園に子どもを入れることではありません。保育園に子どもを預けている間に仕事をして、子どもの養育費や生活費を稼ぐことです。
もっと言えば、大半のママは妊娠中から勤めていた会社に戻りたい。だから通勤圏内に住んでいることがマストで、田舎に引っ越すなんて本末転倒です。それにパパの仕事もあるのだから、相当な覚悟と計画がなければ仕事を辞めて一家で地方移住なんてできるわけがない。
それに、地方には保育園があっても仕事が少ないのが現状。移住したけれど就職できずに主婦になり、保育園に入れなかったなんて結末になりかねません。
「保育園に入れたきゃ地方へ行け」何の問題解決にもならないことがわかります。

(※)本来、世帯全体の問題でありシングルファザー家庭も多々存在しますが、圧倒的にこの問題の当事者は母親が多いため、便宜上ママとします

保育園入園チャンスは、事実上4月しかない

なぜ、4月開園を急がなければならないのでしょうか?
ママなら「4月が入りやすいから、いや、4月しか入れない!」と即答できるでしょう。4月で定員が埋まってしまい、5月以降に入れるのは転居や退職で欠員がでたときだけ。
私も都内在住時、5月に認可園の空き状況を問い合わせたことがあります。
その回答は、「来年度までは無理です」。
あの、今年度は先月始まったばかりなんですけど……。

これが現状です。

4月を逃すとその後の入園は絶望的だから、泣く泣く育休を早めに切り上げるママもいます。そこまでして職場に戻る理由は、育休を延長できるのが1年6ヶ月までだから。この期間に子どもの預け先が決まらなければ、退職せざるを得ません。
収入が途絶えたら、目先の生活が苦しくなるだけでなく、生涯年収も激減。さらに、やりがいや社会的評価という心の充足も失います。
4月に保育園に入園できるかどうかは、文字通り死活問題なのです。

「保育園つくれ」と叫ぶだけでは理解は得られない

保育園建設反対派の意見の中には、「保護者の立ち話が邪魔でうるさい」という、明らかに幼稚園と混同したものも見られます。
でも、今まで“母親が専業主婦で子どもは幼稚園に通う”がスタンダードだったのだから、想像できないのも無理もありません。

私たちが見ている世界は、本当に狭いもの。いつも暇そうなお店でバイトをしたら、実は超忙しかったなんて経験をした人も多いのではないでしょうか。

同様に、保育園に子どもを預けて働いているママがどんなタイムスケジュールで動いているかなんて、当事者以外は想像できません。介護施設のように、家庭で保育するのが大変だから預けていると誤解されている可能性もあります。私も年配者に「私は幼稚園に入るまで一人で育てていたのよ。保育園に預けるなんてラクしているわね」と言われたことがありますし。

こんな人が、育休が1年6ヶ月までだなんて、知っているわけがありません。
でも実は、私も妊娠するまで育休のシステムや待機児童の深刻さを知りませんでした。世の中の保育園に対する理解なんて、そんなもんなんです。

だからそこをすっ飛して「保育園つくれ」と叫んでも、子どもがうるさい、税金の無駄遣い、母親のわがまま、など実りのない舌戦が繰り広げられるだけ。「世間は、働くママの危機感や保育園の必要性をわかっているはず」などとは間違っても考えず、「なぜ保育園建設が喫緊の課題なのか」を根気よく訴えていく必要があります。

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