人見知りであがり症のライターが編み出した取材のコツ

ライターになった人、なりたい人の大半は「文章を書くのが好き」な人でしょう。
ところが本格的に業務を始めると、必ずついてまわるのが取材です。
時間をかけて練り直しができる文章作成と違い、取材は限られた時間内での一発勝負。
対極にあるスキルを両立することが必要です。

私も取材が苦手で、取材中に頭が真っ白になったり、文章を書きはじめてから「これを聞いておけばよかった」と後悔してばかりでした(今もたまにありますが)。

でも研究を重ねて場数を踏み、最近では「今まで受けた取材の中でいちばん話しやすかった」「いい質問をしてきますね」などのお言葉をいただけるように。

今回はそんな経験をもとに、ライター志望者や経験1年未満の方のために、取材のコツや方法をまとめていきます。

1取材の準備

世の中には何の準備もしないでインタビューに臨める人もいるそうですが、コミュニケーション力の低い私には無理。
コミュ力に自信がない人は、準備をしっかりと!

1-1 取材とは何かを理解する

取材とは読んで字のごとく、「材」料を「取」ってくること。
料理にたとえるなら食材です。
有能なシェフでも、鶏肉がなければチキンカレーはつくれないですよね。
材料の切り方、煮込み時間、スパイスの調合などの技術は、材料が揃って初めて活きてきます。

同様に、どれだけライティングスキルが高くても取材に失敗すると良い文章は書けません。
だから取材の前に、「どんな材料を取ってくればいいのか」を吟味することが大切です。

1-2 既存の記事を読みこむ

企業の取材であれば、ホームページに必ず目を通します。
隅から隅まで読みつくすのが難しければ、事業内容、企業理念、社長インタビューなどの主要なところだけでもおさえましょう。
オフィシャルのブログやフェイスブックなども、リアルな企業の顔がわかるのでしっかりチェック。
個人の取材も同様に、ブログ、ホームページ、SNSなどで情報収集をします。

なぜこんなことをするかというと、後で質問リストをつくるときに役立つから。
相手がどんな組織や人なのかを把握しておくと、的を射た質問を用意することができます。

「事前に知りすぎないほうがいい取材ができる」という意見もありますが、私は逆。
むしろ相手から「そんなところまで読んでくれたんですか」と喜ばれ、会話が弾んで良いことばかりです。

ただしホームページ作成のための取材や、自分のメディアを持っていない個人も多いです。
そのときはネットで業界の動向や同業他社のホームページを検索して読んでおくことをおすすめします。

1-3 質問リストをつくる

取材で聞きたいことをリストアップしていきます。
ただし、思いつくまま書き連ねるのはNG。
どんな内容が読者に刺さるのかを吟味する必要があります。

たとえば、“斬新なサービスで急成長を遂げている企業の女性社長”を取材するとしましょう。
読者が起業を目指す30代の女性であれば「仕事と家庭の両立のコツは?」という内容は非常にウケが良いですが、50代の男性経営者にとってはほとんど関心のないこと。
自分の興味や趣味ではなく、あくまで取材の趣旨に沿った質問を用意することが大切です。

とはいえ、難しく考える必要はありません。
どんな文章をつくるかを考え、逆算していけば大丈夫です。

例)転職サイトに掲載する先輩社員のインタビューをする場合

  1. 転職した理由
  2. 入社の決め手
  3. 現在担当している仕事
  4. 「この仕事を選んでよかった」と思ったエピソード
  5. どんな人がこの仕事に向いているか
  6. 後輩へのメッセージ

もし新卒向けのサイトだった場合は教育体制について掘り下げるなど、記事の趣旨に合わせて質問を変えていきます。

2取材当日

取材当日はドキドキするもの。
前日までに靴磨き、アイロンがけ、レコーダーの準備などを済ませておくと安心です。
オンライン取材のときは、ネットの接続状況の確認を!

2-1取材対象者に「ありがとうございます」の気持ちを持つ

「取材してやっているんだ」という態度の記者やライターもいると聞きます。
とんでもない!
どんな取材であれ、相手の時間を使っているのは事実。
「本日はお時間をいただきありがとうございます」とお礼を述べるのがマナーです。

また、本題に入る前に取材の趣旨を伝えておくのがベター。
取材対象者と事前に直接やりとりをしているのであれば話は別ですが、企業の取材などでは「上司に言われたからとりあえず来ました」というケースも少なくありません。

たとえば「今回は、転職サイト○○に掲載する『先輩社員の声』というコーナーの取材です。転職希望者に、『こんな先輩と一緒に働きたい』『数年後にはこんな人になりたい』などと思っていただき、応募につなげるのが狙いです。そのために××様の仕事内容や、やりがいなどについてお話を聞かせてください。具体的なエピソードなどを詳しくお伺いすると思いますが、おつき合いいただけると嬉しいです」などと事前に説明すれば、相手も取材に臨む準備ができます。
緊張しているのはライターだけじゃないですからね。

2-2質問攻めはNG。質問リストはチェックリストとして活用する

さて、ついに取材の火蓋が切られました。
準備した質問リストが役立つわけですが、上から順番に聞いていくのはNG!
それでは単なるアンケートです。

先ほど「1-3 質問リストをつくる」で用意した質問リストを例に出しましょう。
「転職サイトに掲載する先輩社員のインタビューをつくる」と仮定して説明をしていきます。

質問リスト

  1. 転職した理由
  2. 入社の決め手
  3. 現在担当している仕事
  4. 「この仕事を選んでよかった」と思ったエピソード
  5. どんな人がこの仕事に向いているか
  6. 後輩へのメッセージ

最初に「1.転職した理由」を聞いて、相手がこう答えたとします。

「前職では営業事務をしていたのですが、営業のサポートでは物足りなくなったんですよね。そんなときに、大学時代の先輩からうちで営業職を募集しているよって教えてもらって。尊敬している先輩なので、あの人がすすめる会社なら間違いないと思って応募しました」

すでに「2.入社の決め手」に触れています。
それなのに「入社の決め手は何でしたか?」と聞いてしまったら「さっき尊敬する先輩の紹介って言ったじゃん……」思われてしまう可能性が大。
相手も白けてしまいます。

こんなサムイ事態を防ぐポイントは、2番目以降の質問は相手の回答の中からつくること。
たとえば先ほどの回答を聞き、「以前の会社で営業職に転身することは考えましたか?」という質問を投げかけることができます。
もしかしたら「前職では、女性は補助的業務という考えが根強かった。当社は男女関係なく成績で評価してもらえる」という回答を引き出せるかもしれません。それは企業の大きなアピールポイントになります。
さらにそこから「実力主義の会社だと実感したエピソードを教えてください」と話題をつなげていけば、会話の流れが途切れず相手も話しやすい。

その場で質問をしていき、準備の段階では予想だにしなかった面白い話題を引き出す。これが取材の醍醐味です。

こんなやり方では、話題がそれていくのではと心配するかもしれません。
そんなときに役立つのが、準備しておいた質問リストです。
会話をしながらチラチラとリストを見て、大きく脱線していないかをチェック。必要に応じて軌道修正をしていきます。
取材の最後にリストを見直し、漏れていた質問をして取材は終了です。

2-3 “あいまいワード”“手あかワード”には必ずツッコミを入れる

先ほど「相手の回答の中から質問をつくる」と言いましたが、これがなかなか難しいもの。私も毎回手探りです。

でも必ず実践しているのが、“あいまいワード”と“手あかワード”へのツッコミです。
“あいまいワード”とは、「基本的な」「本質的な」など、人によって定義が異なる言葉のこと。一部の外来語にも当てはまります。
たとえば「この仕事には基本的な英語力が必要」と相手が言ったとしても、「基本的な」の定義は人によってバラバラ。
取材対象者は「英語でメールや電話応対ができるレベル」というつもりだったのにライターが「中学卒業程度」と考えていたら、話がかみ合わなくなりロクな原稿が書けません。相手の考える「基本的な」の定義をしっかり確認することが大切です。

“手あかワード”とは、「お客様第一」「フットワーク軽く」などの使い古された言葉。
言われた通りに原稿にするのではなく、「お客様第一を実現するために、どんなことを心がけていますか?」「フットワーク軽く、がモットーとのことですが、具体的にどんな行動を起こしていますか?」など、その人ならではの考えやエピソードを引き出せると、原稿が一気におもしろくなります。

「お客様第一で仕事をしています」より、「お急ぎのお客様から問い合わせがあったのですが、新宿支社には在庫がありませんでした。そこで全国の支店に電話をかけまくったところ、前橋支社にあることが判明。すぐに車に飛び乗り群馬県まで取りに行き夕方に納品したところ、とても喜んでくれて。それ以来、発注のときは必ず私を指名してくれます」のほうが、お客様を大切にしていることが伝わりますよね。

3 取材の勉強におすすめの本3冊

取材の勉強に役立つのは、カウンセラーやコンサルタントが執筆した書籍。「人の話を聞く」ことが本業ですからね。
読み漁った中で、おすすめなのが次の3冊です。

詳細はこちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

特に「良い質問」をする技術は良書で、はるばるドイツにまで持ってきた数少ない書籍のひとつです。
ぜひ参考にしてください。

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